藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
デザイン優先?
今朝(25日)、朝日新聞の朝刊を開いたら、社会面のトップにこんな記事があった。
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「デザインを優先」って? 
安全を考えるのもデザインでしょうが。

ここで言う「デザイン」とは見た目、外観の美しさ、かっこよさ、商品差別化の手段…

朝日新聞でさえデザインへの理解はこんなものか。哀しくなった。

安全や使い勝手や環境への配慮まで考えるのが、デザインだ。
そんなこと、デザイナーはみんな分かっている(はず)。けれどデザイナー以外の圧倒的多数はそう思っていない。

記者は検察が法廷で使った言葉をそのまま引用しただけだ。が、記者は「デザイン=見た目」という認識に何の疑問も抱かなかった。
挙げ句の果てに、記者は記事の最後でこう結論づける。「安全対策よりデザインを優先した結果が事故を招いた形になった」と──。
えっ?そんな書き方したらデザインはまるで悪者じゃん。「見栄えを優先した結果」と書くべき。せめて「外観デザインを優先した結果」と書いてくれればいいものを。

検察官や新聞の社会部の記者といえば、社会的に地位が高く、広く深い知識が備わっているはずなのに……。そうした人たちでさえ、デザインへの理解はいまだこんなもの。デザインの啓蒙時代はまだまだ続く。

朝日新聞/asahi.comの記事はこちら【森ビル元常務ら起訴事実認める。ヒルズ回転ドア事故】
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-06-25 19:52 | Comments(4)
Commented by I_LOVE-JESUS at 2005-06-27 07:17
新聞にこう書かれると、大衆の「デザイン=見た目のかっこよさ」という意識は、ますます根強いものになってしまいますね。
Commented by cabanon at 2005-06-27 20:13
僕は中学校からデザインと建築の教育をすべきだと思っています。高校でも大学でもデザインを教える授業を増やすべき。ビジネスにも役に立つし、公共施設がどんなデザインであるべきか、税金を使う人も払う人も判断できるようになる。そうなれば、こんな誤解がなくなるはずですよね。きっと。
Commented by 長谷高史 at 2005-07-11 10:39 x
なんとも情けない報道です。
官庁や自治体においてもデザインの理解ははなはだお粗末で、所轄といわれる経済産業省デザイン政策室においても経済の視点でしか見ていない。早くデザイン省の設立を切に思うものです。
1970年代の啓蒙期から2000年の成熟期になったと各デザイン団体は広報しているがまだまだデザイン未熟期のような感があり、長く実務や教育に携っている者としては大変情けない。
Commented by cabanon at 2005-07-11 11:24
>長谷様
コメント有り難うございます。

デザイン省、本当に必要ですね。デザインは文化と経済と2つの側面から振興しなくてはいけない。経済の視点だと、欧米に追い越す、中国に勝つ負ける、という発想だけになってしまう。デザインの知恵を通じて貧困国の援助する、といった弱者を見つめる視点が抜け落ちてしまう。

戦前ブルーノ・タウトやシャルロット・ペリアンが来日して、日本のその後のデザインや建築の世界に大きな影響を与えたように、日本のデザイナーが海外に出て、文化としての日本発のデザインを第三世界の国々に伝えるようになるべきです。僕はそう思います。
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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