藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
「住まいのデザイン」を語る言葉
昨日青山へ、2005年度グッドデザイン賞 建築デザイン部門の「住まいのデザイン」公開プレゼンテーションを見に行ってきた。1次審査を通過した、一戸建て工業化住宅や集合住宅8件が、建築家、住宅メーカーやデベロッパーの担当者によって、4人の審査員と200名くらいの聴衆の前でプレゼンされた。
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「金子テラスハウス」をプレゼンする陶器二三雄氏。
港北ニュータウンのテラスハウス。審査員に好評を博していた。

セールストークとデザインコンセプトを語る言葉と混同している住宅メーカーやデベロッパーがなんと多いことか。「土地の記憶を継承する」「五感を癒す都市の住まい」「現代の町屋」「じぶん色に仕立てる家」……。セールストークや広告のキャッチコピーにはある程度の誇張が必要だ。

しかしグッドデザイン審査のようなデザインを評価する場では、誇張は偽りとなる。不誠実なデザインと見なされる。屋敷森のあった密度の高い景観をがらりと変えてしまったのにもかかわらず、敷地にあった大きなケヤキ一本と古井戸を残しただけで「このマンションは土地の記憶を継承している」と言われても、それはセールストーク用のコンセプトでしょ、どこかにウソがある、ということになる。
そのあたりを審査員に突かれて、住宅メーカーやデベロッパーの担当者は壇上で苦笑いするばかり。そんな光景が目立った。

その点、陶器二三雄氏や新居千秋氏といった百戦錬磨の建築家によるプレゼンは、セールストークでコンセプトを語るのでなく、建築家がいまデベロッパーとコラボレートして開発する住宅設計で、一体何ができるのか、何ができないのか、を真摯な言葉で語り、好感を持てた。作り手が何をすべきか。どんな価値を生み出せるか。それがグッドデザイン審査で語られるべき「デザインのコンセプト」である。口当たりのいい言葉より批評精神あふれる言葉がここでは展開されるべきなのだ。

なぜ住宅メーカーの担当者はそれが理解できないのだろうか。デザインというのはセールストーク用の付加価値だと思っているからなのだろうか。

****補足のつぶやき*****
審査員の一人、塚本由晴氏がこう言っていた。「建築の半分は言葉だと思う」。さて、デザイナーでデザインの半分は言葉だと認識している人はどれだけいるだろうか。いま憂うべきはデザインの貧弱さでなくデザインの言葉の貧弱さだ。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-08-11 12:17
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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