藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
このロゴ、いいです。
d0039955_0205420.jpg
永井一正さんによる三菱東京UFJ銀行のロゴマークはいいです。ダラダラ長いネーミングは最悪ですけど。
「あの会社のロゴってこんなんだっけ、と言いながら描けてしまうのがいいロゴだ」と、企業ロゴの変遷に詳しいグラフィックデザイナーの太田徹也さんが言ってました。「最近の企業ロゴマークは社名を言われても、パッと描けるものがほとんどない。形も色も複雑すぎる」と。
そういう意味でこのロゴはまさに王道。シンプルな幾何学的構成を良しとするモダンデザインの本流だし、円形を基本モチーフにしているところが銀行のロゴっぽい。しかも、これ以上合併はない、もうロゴは変えないぞ、と語りかけるような究極の形──。三菱のダイヤモンドマークに匹敵する原型的形と言えましょう。スリーダイヤモンドは譲ったけど、でも、色は三菱色。そのあたりも明快です。
それに比べて、みずほとか三井住友とか今ひとつ明快さがない。ともにカラーリングはいいんですが、マークとしてのインパクトに欠ける。ということは、もう一回合併ありってことなのでしょうか。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-02-01 00:24 | Comments(2)
Commented by hiro at 2006-02-01 05:44 x
このロゴマークのデザインを考える上で、重要なのは、合併銀行の前身となる銀行の旧ロゴです。
おそらくデザイナーは、旧銀行に愛着のある利用者に違和感を感じさせないように、そのタッチをなるべく残そうと努力したんじゃないかと。
四つのロゴを並べて眺めていたに違いない。
東京銀行+三菱銀行+東海銀行+三和銀行= この銀行。
官製イメージのある外為銀行+財閥系の堅い銀行+名古屋発の企業の成長に合わせて全国区になってしまった銀行+関西系庶民感覚の銀行。=この銀行
丸を囲むデザインは、旧東京のイメージ、赤色は、三菱のカラー。
東海の波のマークは面影は残っていません。三和の三つ葉っぽい構成はないが、中心に重心をのこしたバランスをとる構図は共通性があります。
関東(三菱)、関西(三和)、中部(東海)がバランスよくまざっているうえに、楕円は地球のイメージで、グローバル展開もしてますよ(東京)、というデザインにも見れる。
Commented by cabanon at 2006-02-01 16:23
>hiroさん 
零下30度の国からの、バナナで釘を打つような鋭い分析、ありがとう。
うん、ホント、バラバラなキャラの4つの銀行をひとつにまとめる意思が感じられるロゴですね。東京銀行が二重丸にTの文字が入った円形マークで、田中一光のデザイン。永井さんはたぶん急逝された盟友のこのマークをいちばん意識したような気がします。調べてみたら東海も波のマークの前は三重丸のなかに「東」が書かれているマークで、三和も東海も東京も三菱の旧ロゴすべてが「中心に重心を残したバランス」で、それを新ロゴで踏襲しているんですね。

実はこの新ロゴマーク、1967年〜1987年に使われていた日本信託銀行のロゴにかなり似ています。真円の周りに2つの三日月が囲んでいる全体の構成は全く同じ。形として違うのは三日月のカーブと円の大きさ。心ない人はパクリというでしょう。でも、僕は、hiroさんが指摘されるように4つの銀行の歴史を生かそうと努力した上で生まれてきた必然的な形と解釈したいです。
<< 現役引退 トークのお知らせ >>


S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

Twitterもやってます!

*当ブログの奥座敷
KoKo Annex

ライフログ
最新のコメント
以前の記事
カテゴリ
ブログジャンル
リンクについて
当サイトはリンクフリーです。
お気軽にリンクして下さい。

本ブログの記事と写真の
無断複写・転載を固く禁じます。




Copyright 2005-2016 Keiichiro Fujisaki All rights reserved
本ブログの記事と写真の無断複写・転載を固く禁じます。