藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
トークセッション
青山ブックセンター本店での『ジャパンデザイン』刊行記念トークセッション、満員御礼、盛況のうち終わりました。お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。充実の2時間30分だったと思います。ナビゲーター役の僕自身が柴田文江さんと村田智明さんの話を聞いてて、う〜これはえらく面白いと思いながら話を進行させていましたから。

村田さんはいいネタたくさん持ってます。悪知恵を働かせてモノを売ろうとする「越後屋」になってませんかという話や、滝修行でデザインに開眼した話など、自分をいじり笑いをとりながら、聞く人の心に隙間を作っておいて、デザインの本質の話をスッとその隙間に差し込んでいく。その話術は安藤忠雄さんを彷彿とさせます。リスクは背負って闘いつづけるというスタンスを語って人の心をつかむところも安藤さんに近い。さすが大阪で練られた人は違います。村田さんが展開するメタフィスの製品はミニマムな印象が強いのですが、実はその背後に“人を喜ばせたい・共鳴させたい”という強烈なサービス精神が潜んでいるようです。

柴田さんも聞く人の心をグッとつかむことのできる方でした。乳腺の中で赤い血液が白い母乳になる瞬間をデザインに喩える話は心に響きました。開発スタッフと共通認識を持つためにツゥルツゥルとか擬音語を使う話など、デザインと言葉の関係を追求する僕にとっては非常に大切な話をしていただけて感謝です。柴田さんの話し方には飾りがありません。押しつけがましくなく、心の真ん中に届くんです。それってまさに彼女のデザインそのものです。あっ無印のこのソファ家で使っているわとか、こないだコンビニで買ったこのオムロンの体温計って柴田さんのだったのだとか、気付いたらスッと横にあるような、そんな生活の真ん中に届くデザインが話し方の中でも体現されていました。

話し方がデザインを表す。成功しているデザイナーに共通していることかもしれません。人は作品だけに惹きつけられるのではないのですから。デザインと話し方の裏表の無さがきっと人を惹きつけるのです。
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秋田さんとのトークとの時のようにホワイトボードを使って柴田さんや村田さんに話してもらおうと思ってたんです。でも話がポンポンと進んで使わずじまいでした。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-02-26 22:11 | Comments(11)
Commented by Takahashi at 2006-02-26 23:03 x
今日のトークセッション、聞かさせて頂きました。
あのような場であんなに笑ったのは今までで初めてです。
2時間30分という時間は本当だったら、飽きがでるものなんですが、高いテンションを維持したままあっという間に過ぎてしまったという感じです。

質疑応答ではせっかくの場だったので、前からいいな、と思っていた柴田さんのHPの“Thank you”について質問してみました。

終わったあと、藤崎様に挨拶をしようと思ったのですが、お話していましたので、また今度お会いできたらな、と思います。
本日は楽しいお話、有り難うございました。
Commented by Rin at 2006-02-26 23:30 x
今日でしたね。今日だなぁと思いながら、大阪におりました。(涙)

『大阪から発信する』の方での記事をTBさせていただきました。
このトークセッションの告知を載せていらっしゃいました時に、
“大阪でもお願いします”と書き込み、藤崎様から“日本産業
デザイン振興会の方へ”とのお返事をいただきましたが、
本当に日本産業デザイン振興会へもお願いのメールをしたの
ですが、大阪開催を期待できるとしたら来年になりそうなご回答
でした。

大阪で開いてくださっても、間違いなく満員御礼になると思います。
・・・と、ここで再び、大阪でも・・・をアピールです。(笑)
Commented by cabanon at 2006-02-27 10:39
>Takahashiさん
Thank youはナイスな質問でした。デザイナーのHPってFlashせいでかえって見にくいって、みんなが思っている話をうまく引き出してくれましたし。
どこかで見かけたら声かけてください。

>Rinさん
僕も地元で村田さんがどんな話をするか、聞きたいです。“東京公演”とは微妙に違うノリがあるんじゃいかと秘かに考えています。本当は観客こそが引き出し役で、観客のノリが変われば演者のノリは変わりますから。
Commented by makoto at 2006-02-27 12:17 x
昨日は寒い中、あたたかいトークセッションをありがとうございました。
あれだけのトークで500円、確かに破格の値段でしたね。プロのデザイナーは、話術もプロ級だと思い知らされました。プレゼンテーションでも鍛えられたんでしょうね。いかに笑わすか、惹きつけるか。

トークで、思ったことあります。村田さんは、海外で評価してもらった方が、国内でも評価してもらいやすい、ということをおっしゃっていました。その時は、そっちの方法が賢いし、確かに良いと思いました。今もそう思っています。
でも一方で、そういうことに対する寂しさも感じます。他人の評価が無いと良いならない。その部分が改善されるにはどうしたらいいのだろう、そんなことを考えてしまいます。
デザインを取り巻く様々な環境の方を、もっと良くしていく必要があるのですね。そのために、自分も頑張りたいと思いました。まずは、次の仕事・・・ですね。
Commented by おやつ at 2006-02-27 21:21 x
いいものを出し続けておられる人の話を、すごく、たくさん聞きたい今日この頃です。僕に足りないものがいっぱいあるはず。
幽体離脱とかできればなあ〜。

少し話しはそれますが、
「リスクは背負って闘いつづける」ことの、リスクの背負い方に、すごい興味があります。その話聞きたかったです。
僕は自分自身リスクを背負えているようには思えません。
リスクを背負えないデザイン案は脆いです。
リスクを背負うために「実験デザイン」ということでしょうか?

よかったらその話少しかいつまんで教えていただけないでしょうか?



Commented by 村田智明 at 2006-02-28 00:49 x
セミナーお疲れさまです。なんでも、吸収しようとする力、素晴らしいですね。いつか、たくさんの引き出しが自分をカタチに変えてくれますよ。リスクって、自身のあるうちは、少しもリスクだとは思っていないんですよ。傍から見ると、大変だろうとか、やたら大きな評価になったりするんですが、本人は至って普通なんですよ。好きなことだったら、なんでも出来るのと同じなんですね。実験デザインは、常に完成していない・・・という意味を込めています。完璧というのは、単なる主観ですから。
藤崎さん、柴田さん、ほんと、ご苦労様でした。柴田さんの世界観、イメージの伝達方法(トゥルトゥル)には脱毛でした。コレ、使えます。
Commented by おやつ at 2006-02-28 18:10 x
うわあ。村田さまご本人からのお答えありがとうございます。
自分をカタチに…ですか。これからずっと心に残りそうな言葉です。
このコメントと村田さんの活動を照らし合わせて、村田さんが背負うリスクが少し分かったような気がします。
僕もウチで僕が背負えるリスクを捜してみます。
背負えるもんならヨロコんで背負います。
モチベーション上がりました。ありがとうございます。

脱毛、是非使わせていただきます。

藤崎さんのブログでの僕の個人的なコメント、失礼しました。
Commented by cabanon at 2006-02-28 21:20
>村田さん
うわあ(2倍)。いま金沢から帰ってきてブログにアクセスしたら、
村田さんにコメント頂けてるなんて、感激です。
管理人冥利に尽きます。有り難うございます。
26日は本当にお疲れさまでした。
村田さんの話の面白さに永久脱毛です。
今度は大阪の方たちの前でVゾーン話で盛り上がりたいです。

>おやつさん
どんどん、このブログ利用してください。
たしかに村田さんには、自然体でリスクを背負うって感じがありました。
オレはリスク背負ってんだぞって目が血走ってたら、人は寄ってこないですしね。
そんな顔してないけど、言われてみればヤツはリスクを背負っている、というのが大事ですね、きっと。
Commented by おやつ at 2006-02-28 22:04 x
藤崎さん。
ありがとうございます。
そうですね。自然体で脱毛してみます。
Commented by designer-h at 2006-03-02 09:45 x
トークセッション大成功だったみたいですね。あ~行きたかったな~。
大阪であった「行為のデザイン展」で村田さんと出会い、是非トークセッションに。というお誘いを頂いたんですが、あいにく別件で…。…かなしい…。
ぜひぜひ、大阪でもトークセッションを!!!!
そう思ってるデザイナーや学生は多いですよ。絶対に!!
関西のノリ的な空気が漂うと、東京とはまた違ったトークセッションになるんじゃないでしょうか!?楽しみにしてま~す。ぜひぜひ!!
Commented by cabanon at 2006-03-06 14:16
>designer-hさん
大阪でもやりたいですね。
ノリツッコミができるように勉強しときます。
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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