藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
有名建築家の作った縄文住宅
長野県茅野に行ってきました。尖石縄文考古館には、堀口捨己(1895〜1984)が、1949年に設計した縄文の復元住居があります。なんだか。伊勢神宮のようです。千木(ちぎ/屋根の両端に交叉する木)があり、切妻屋根があるように見えるからです。
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復元住宅というより、日本の神社建築の原型を表現した「堀口作品」です。切妻屋根を支える構造材を、交叉した部分で切らずに、天に突き出させたものが、「千木」になったことが分かります。でもその千木の原型があまりに堂々と天に突き出ている。日本のモダニズム建築の創成期をリードした大建築家の想像力が、科学的実証性をいささか飛び越えてしまっています。
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入り口の位置を中央からずらしたアンシンメトリカルなファサードに、堀口のモダニスト魂を感じます。
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さすがに鰹木(かつおぎ/屋根の上に水平に並べられた木)はありません。しかし、後代、鰹木が屋根にほぼ等間隔に置かれることを予感させる作りになっています。
現在の住居は設計をそのままに2000年に建て替えられたもの。縄文時代の資料より、日本モダニズム建築の資料としてのほうが価値が高いかもしれません
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-10-10 15:01 | Comments(2)
Commented by はしば at 2006-10-11 00:37 x
藤崎さん、こんにちは。思わず写真に目がとまりました。
この建物、第一印象はアムステルダム派のイメージが重なります。縄文の資料に基づいて建てたわけだから、オランダの経験主義とは無関係だとは思うのですが、茅葺きの大屋根と、舟形の平面、茅を抑える木の感じも、ぼくにとってはアムステルダム派の住宅でした。この建物が計画された昭和24年は堀口がオランダ留学から帰国した年で、アタマの中にはベルゲンの住宅群(1918年)の印象が残っていたのではないでしょうか。考え過ぎかも知れませんが、なんだかとても不思議な感じがしました。見に行きたいです。
Commented by cabanon at 2006-10-12 13:08
>はしば さん
こんにちは。はしばさんの指摘を受けて、家にある資料を引っ張り出してみたら、メーアヴェイク公園芸術村(1915-1918)の写真が「建築文化」のダッチモダニズム特集に載っていました。アムステルダム派の茅葺きの住宅です。

茅葺きの大屋根は、堀口の紫烟荘(1926)に直接繋がりますね。この影響関係は知りませんでした。

ただし、堀口はオランダの建築をただ直輸入しただけでなく、日本には太古から表現主義とモダニズムのルーツとも言えるような文化があったことを示そうとした。きっと、この縄文住宅で──。そんなこと思いました。
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藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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