藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
コトダマ
言霊という言葉あるのに、
なぜ形霊という言葉がないのだろうか。
言葉に精霊が宿る。
形にも精霊が宿る。
いや、宿るのではない。
魂のタマとは、玉であり、形に通じる。
形は魂そのものかもしれない。
ここで言う形とは、現象として顕れる形ではない。
そのひとつ上の次元の形──
原型。アリストテレスの言う形相。
型という意味でのForm……。
形霊という表現が存在しないのは
それが同語反復でしかないからだろう。

言霊とは、言葉が「タマ」になった状態。
つまり言葉の形化(かたち か)──。
決して言葉に表現できない形があるように、
形に表現できない言葉がある。
言霊という響きが持つ神秘性は、
決して形化できないと思われた言葉が、
形になったことへの恐れおののきから来たもの。

デザインの最も面白い所も、その恐れおののきの地点にあるように思う。
デザインとは、コギトダマ……。いや、シャレじゃなくて。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-11-23 00:13
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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