藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
面質
面質──カーデザインの世界でよく使われる言葉のようです。他では聞いたことがありません。Googleで検索すると、クルマの記事やリリースで下記のような使われ方をされています。

張りのある面質、すっきりした面質、練り込まれた面質、瑞々しい面質。滑らかな面質、艶やかな面質、豊かな面質、精緻な面質、エレガントな面質。クリーンな面質。シャープな面質、ソフトな面質、リッチな面質。

ニュアンスの塊のような言葉です。「面」と言ってしまってはいけないのでしょう。「面を豊かにする」というよりは、「面質を豊かにする」といったほうがいいし、「面を磨く」と「面質を磨く」はさらに違います。微妙なフォルムの問題に、微妙に質感というニュアンスが加わります。当然、クオリティという意味も持ちます。ポジティブな意味の形容詞と組み合わせると、「質」という文字が輝きます。

あるプロダクトデザイナーの言葉を思い出しました。最初に自動車会社に就職したとき、クルマのデザインがこんなに彫刻だったのか、と驚いた、もっと設計だと思っていた、と。

もしかしてクルマのスタイリングって、現代彫刻よりも彫刻的かもしれません。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-12-02 22:59 | Comments(2)
Commented by bkb at 2007-03-28 00:46 x
僕がここ10数年で新しい面だと思ったのはBMWのZ4ぐらいです。あと坂本龍一がCMやってたころのAUDIのフロントフェンダー横のパーティングの処理とか。Z4はひところのニューエッジ系でもなくレトロなようでレトロでなく非常に大胆な面の切り返しがあったり・・・ま、とにかくやるなぁ、と思いました。こういうのって、同じデザイナーでもプロダクト系や建築系の人はさっぱりわからんと言いますね。面質という言葉がいかに特殊な概念かという証拠です。恐らくカーデザイン以外の人には「無い」ニュアンスかもしれません。
Commented by cabanon at 2007-03-28 13:30
>bkbさん

>ニューエッジ系でもなくレトロなようでレトロでなく
>非常に大胆な面の切り返し

うう、たしかに僕にもわかりません。「カーデザインの面質」で一冊本が書けそうですね。カーデザイナーがクルマだけでなく、生物や建築やヘンリー・ムーアの彫刻の面などをカーデザインの言葉で語ると面白いかもしれません。新しい面の見方の啓蒙書──企画考えます。
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藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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