藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
永田町のコンビニ
国会図書館へ行く途中立ち寄った、永田町の自民党本部の隣にあるローソンがスゴいことになってました。キティあり、ネズミーランド系あり、ミッフィーあり、ほかいろいろ……。レジの上にも、商品棚の上も、店内のあちこちに、ぬいぐるみが吊されています。もちろん売り物ではありません。デコレーションです。
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外に出て10メートルほど歩くと自民党本部があります。時間に追われる議員の秘書さんが、お茶とか買いに来ているかもしれません。路上では大柄の警官たちが、通行者をチェックしています。ギロッと睨まれると、こっちも硬い表情を作ってしまいます。自民党本部の駐車場を覗くと、黒塗りのセンチュリーがやたら目につきます。

だからあえて、このぬいぐるみたちで、外のギスギスした世界とのコントラストを演出したのかもしれません。永田町にもきっと昔は、人情を感じさせる商店が建ち並んでいたのでしょう。(国会図書館の最上階の靴屋もその名残なのかな)。

しかし、今はこのあたりを歩いても、地元感というか、人と人との触れ合いを全く感じません。そんな地縁を失った町だから、この飾り付けに強い意味があるように感じました。少しでも親しみのある町を取り戻したい。そんな思いは、店内に貼ってあった日比谷高校野球部を応援する、選手のサイン入りのポスターからもヒシヒシと感じられました。

民主主義の中枢部が、人と人との触れ合いを感じさせない──。これがデモクラシーの現状だと思います。他者への不信の眼が支配するデモクラシーへのささやかな異議申し立てが、民主主義の最中央部にある、コンビニという資本主義が生んだ均質空間(ユニバーサル・スペース)の中で、しかもグローバルなキャラクターを過剰に飾り立てることによって行われているのは、実に意味深いことです。

永田町には日本全国からいろいろな人が集まってきます。親しみの演出も地縁の再生も、グローバルなキャラクタービジネスの代表格であるミッキーたちの手を借りないといけない。これが私たちの社会の現実です。──いろいろ深く考えさせられます。だから、このローソンの店主、頑張ってほしいな。
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text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-02-15 20:35 | Comments(0)
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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