藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
覚醒は訪れない
友人のアーティストKさんがわが家に来た。
彼女のことば。

──もしも自分の作品が他人の作品に使われて、Kさんの名前がクレジットされてないとしたら?
「作者名のクレジットがないことでなく、その作品がどういう経緯で生まれたかを示してもらえないことが残念」

コピーライトは最終的には名前表記&お金の問題と思っていたので、この言い方には感服しました。


(イノセンスのDVDをいっしょに斜め観した後)
──エヴァンゲリオンは、2001年宇宙の旅やガンダムみたいな人類覚醒の物語だと思うけど?
「そうかもしれないけど、エヴァは覚醒自体の問題というより覚醒に至るまでの過程に共感を呼んだのよ。進化を前にして戸惑っていたりする……」

つまり、こうだ。エヴァとは人類補完計画の成就が問題でない。私たち1970年代前後に少年期を過ごした子どもたちはガンダムや2001年宇宙の旅やアキラなどで、人類が覚醒したり進化したりニュータイプになるという幻想を持たされてしまった。
が、来るべき覚醒がいっこうに訪れない。だから戸惑い焦り悩む。エヴァはその心理を巧妙に描き出して、大きな支持を集めたのだ。
映画版で示された人類補完計画はその内容などどうでもいい。エヴァは補完計画に至るまでの物語だったのだから。

自律型サバイバルと寄生型サバイバルを語った以前の投稿 「真ユニバーサルデザイン」を読んでもらうと、来るべき覚醒について何を話しているか深くわかってもらえると思います。

それにしても、彼女、ホント頭が切れます。尊敬します。「私はもう覚醒している」とも言ってましたし。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-05-16 02:58 | Comments(0)
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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