藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
ル・コルビュジエ展は5月26日から
昨日は森美術館で打ち合わせ。終わってから南條館長に現在準備中のル・コルビュジエ展(5/26〜9/24)の会場を案内してもらいました。まだ作品は展示されていませんでしたが、今回の展覧会の目玉である、コルビュジエのカップ・マルタンの休暇小屋と、パリの自宅のアトリエ、マルセイユのユニテの実物大模型の制作が佳境でした。
ル・コルビュジエ展は5月26日から_d0039955_10471785.jpg
カップマルタンの休暇小屋の再制作現場。
再現されるのは内部空間。
順番で4人ずつ入るとのことです。

休暇小屋の実物模型は昨年ミラノで発表されたもので、イタリアから職人が来ていました。アトリエとユニテは森美術館オリジナル。ユニテはメゾネット(集合住宅の一室が二階層になっている)の部屋がまるごと再現されているので、デカいです。アトリエの作りつけの家具は、引き戸のエッジ部の微妙なカーブまでつくりこんでいました。「建築関係の人たちは、ディテールにうるさいですからね」と館長。さすがにアトリエの石壁を石で再現するなんてことまではしてませんでしたが、空間を味わうには十分かもしれません。

休暇小屋では、あの居心地のいい狭さを味わえそうです。豊饒なる狭小とでもいいましょうか。東京オペラシティアートギャラリーの藤森照信展に出品されている、昨年ヴェネチア建築ビエンナーレのために制作された茶室と比べてみるといいと思います。「狭さの居心地」が通じ合っている。
僕のハンドルネームcabanonはコルビュジエのこの休暇小屋(カバノン)からとったもの。8年前に訪れたものすごく思い入れのある空間です。実際は休暇小屋から見える海や隣にある食堂のバルコニーなど環境全体を体験しないと、あの狭さの豊饒さの深層は理解しづらいと思いますが、でも、ぜひ見に行ってみてください。
ル・コルビュジエ展は5月26日から_d0039955_1617329.jpg
看板職人が説明板にコルビュジエの絵を写し描きしていました。コルビュジエは休暇小屋でこの職人さんが座っているようなスツールを使ってたんですよね。単なる偶然なのか、絵心のある人間が選ぶ道具は自然とこうなるのだろうか。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-05-18 10:52
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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