藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
インテリアライフスタイル展についてあれこれ
金曜日、最終日のインテリアライフスタイル展@東京ビッグサイトへ。会場でいちばん人が賑わい目立っていたのは、アッシュコンセプトとその仲間たちのブース「koncent(コンセント)」でした。そのブースの中には、佐藤可士和さんがロゴをデザインするなど最近話題の今治タオルのコーナーもありました。
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具体的にアッシュコンセプトが今治タオルのプロジェクトにどのような関わり方をしているのか、と今治タオルの方に訊いてみました。すると「答えられません。記事に書かれたくない部分ですので」と冷たいお答えが……。僕が腕に巻いていた「報道」の腕章を見て警戒されたようです。

少し食い下がると「そもそもデザインというのは形をデザインするのではなくて、ものづくりの仕組み全体をデザインするということですから、見えない部分があるのです。アッシュコンセプトさんにお手伝いしてもらっているのは主にそういう部分です」。

講釈はいいからもっと具体的なことを話してほしいのに。と、短気な僕は少しいらつきましたが、よくよく考えてみれば、販売促進担当者が、デザインとは色や形を決めることだけでない、と語ることはスゴいことです。デザインとはものづくりの根幹に関わることだ、生活者と生産者をつなぐ新しいチャネルとしてブランドを育てていく価値創造の手段だといったことを、デザイナーがメディアに対して語るのはごく普通のことですが、それを販促マンがジャーナリストへ語るようになったのです。こうした「コンセプト」を営業の人の頭の中にまで完全にインプットさせている、アッシュコンセプトの名児耶(なごや)秀美さんのプロデュース力はかなりのものです。

このブース自体が、プロモーションまでちゃんとデザインしますという姿勢の表れです。アッシュの「コンセプト」がつなげた企業を「コンセント」のようにつなぎ、ひとつのブースを形成し、で、実際そのブースが会場で最も目立って、たくさんの人を集めていましたから、企業の方はアッシュコンセプトが提案したデザインコンセプトに確信を得ている様子でした。

といっても、ブースの中の新作はモノとして印象に残るものが少なかった。アッシュコンセプトがプロデュースするような、アイデア先行のデザインプロダクトを、僕は「デザイナーズ王様のアイデア」と呼んでいます。多少皮肉を込めているつもりですが、悪い意味じゃありません。実際僕はアッシュコンセプトの石けん置きと傘立てを愛用してます。最初にアッと驚かせ、でも長く愛着を持って使える。でも、王様のアイデア探しは難しいものです。優れたデザイナーの知恵を集めて見つけようとしても、アイデアの王様はそんなにたくさん落ちているものではありませんから。

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印象に残る製品としては、深澤直人さんデザインの±0の新製品コーヒー&ティーメーカー。写真で見るより、ずっと美しい。勝手にニックネームをつけると、ザ・フォルム。ふつうじゃないです。均整のとれた静かな佇まいは…。「ああこれが深澤さんの言うスーパーノーマル」ってと納得がいくフォルムです。ただし、モックだったため触らせてもらませんでしたし、コーヒーや紅茶がおいしくいれられるか、洗浄は楽チンか、など判断しないと、「デザイン」としてはなんとも言えません。が、とにかく「フォルム」は美しい。

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Modern design for All。上段左に黒いコーヒーメーカーがあります。
大胆な形も見えなささ加減もステルスしてました。

秋田道夫さんのデザインの「Modern design for All」の初お披露目。IH調理器(下段左)がよさそうです。縦に収納できるので、鍋の時のコンロや、煮込み料理をしながら他の料理をつくるときなどに使う、もうひとつのコンロとして買おうかなと思いました。

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あと柴田文江さんのカトラリーも印象深い。柴田さんの「形」です。ふくよかでやさしい。現代のプロダクトデザイン界で、形を見て「あっこれは誰々さんのデザインだ」と判断できる人はだんだん少なくなって来ています。BMWのクリストファー・バングルとか、カーデザインではそういうのがあるかもしれませんが、クルマのことはあまり詳しくないもので。柴田さんの生み出す形は柴田さんしかできない形です。けれど、「私を見なさい、美しいでしょ、個性的でしょ」という押し付けがましい自己主張じゃない。そっと口に入れたくなるような、つい触れてみたくなるような、相手を誘い込む「形」。そこに奥深い魅力を感じます。
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「nagomi」燕振興工業 まだ発売はされていないようです。


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で、これはどうなんでしょう。
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和紙ライトオブジェ 高さ47センチ。120万円!
京都のWA-Qu(和空)がプロデュースしたDisney+WA-Qu展のブースより。ブース内には6名の京都のデザイナーがディズニーとコラボレートした漆器や手拭いや照明具などが並んでいました。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-06-09 13:35 | Comments(3)
Commented by もも at 2007-06-11 09:38 x
そうそう!大好きな柴田文江さんの新作ブランドを見たかったんです!柴田さんはプロダクトもいいけれど、キャラクターもダイナミックで敬愛するデザイナーの一人なんです!!
Commented by cabanon at 2007-06-11 09:41
>ももさん
あっ、ちなみに、和紙ミッキーは柴田さんのデザインではないですよ。
Commented by もも at 2007-06-11 10:32 x
分かってますよ。笑
柴田さんのプロダクトは「nagomi」と「fumfum」が新作発表になっているはずです♪柴田ファンより
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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