藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
らき☆すた、つのだ☆ひろ、感性☆21
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経済産業省が「感性価値創造イニシアティブ」という政策を始めています。「高機能」「信頼性」「低価格」をめざしてきた日本のものづくりに、第4の価値軸としての「感性」を掲げるというものです。2008年度から2010年度まで「感性価値創造イヤー(仮)」と定め、来年度から本格的に始動します。

報告書も作られています。GDP2007の会場で気になったので、霞ヶ関の政府刊行物サービス・センターまで行って手に入れました。デザイナーやデザインプロデューサーの多面的な意見も多く取り上げられています。経産省が日本のものづくりをどういう方向性に導きたいと考えているか、一読する価値があると思います。

感性とは定義の難しい言葉です。が、この報告書では、「感性価値」とは作り手と使い手(生活者)が「共創」していくもの、という視点がはっきり打ち出しており、筋の通ったしっかりした内容のものになっています。「国民運動化する」とまで提言しています。いまどき国民運動という言い方に時代とのズレを感じますが、国がこうしたことを盛り上げてくれることはいいことです。共創ですから、感性の教育にも触れてあります。経産省が、図工や美術の時間を減らす方向にある文科省に対して、逆にものをつくることの喜びを体験できる授業を増やすように、と要請するなんてことくらいやって欲しい。

読んでて、ある部品メーカーの社長さんの話を思い出しました。「お客さんは下請けへコストを極力下げるように要求してきてます。こちらは乾いた雑巾を絞るような努力をしている。しかし同時にお客さんたちは仕上げの美しさも求める。表面の仕上げを美しくしたからといって、そのぶん高く買ってくれるわけではないのに……」。こだわりの積み重ねが、日本のものづくりの強さを生んでいるはずなのだけれども、激しいコストダウン競争で、ものづくりの現場は疲弊している。この政策は、日本のデザイン力の底上げ以上に、そうした状況を救い出せるものになるといいと思います。

報告書(PDF)はここで見られます。

しかしっ!
このネーミングはないでしょう。(PDFより)。
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このメンバーなのだから。
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「らき☆すた」も「つのだ☆ひろ」も超えて、「☆」と書いて「きらり」と読ます。感性が泣いています。さすがに「これはちょっと」と思った人がいたのか、いなかったのか。報告書の表紙には、「きらり」という読み(ルビ)はありませんでした。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-09-05 11:01 | Comments(0)
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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