藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
特別なもの
いまさっき家に帰ってきました。銀座のマガジンハウスに校正を届けに行きました。ファクスで送り返せばいいのだけど、ちょっと赤字が増えたのと、原稿を読み返すとなんだか愛着がわいてきて、大事な校正だから届けに行こう、さあ出かけるぞ、って気になりした。

20年前、駆け出しの雑誌編集者だったころ、手書きの原稿を受け取りに行った経験をしています。その場で読んでエラい先生に「有り難うございます」に加えて、気の利いた感想を言わないといけません。ぜんぜんうまく言えませんでした。といっても当時すでに、手渡しは特別で、ファクスと電話のやりとりが一番多かったのですが。

最近のライター仕事は、最初から最後までメールのやりとりだけで終わってしまうことがあります。それにどうも馴染めません。

12時過ぎで、マガジンハウス的にはまだ早かったので、編集部には人がほとんどいませんでした。担当編集者の机の上に校正を置いて、久しぶりに会うフリーの編集者と二言三言交わして会社を出ました。CasaBRUTUS来月10日発売の日本デザイン特集中の、「日本デザインはじまり物語」です。明治から1950年代までのデザイン創生期の話を6000字くらいで口当たりはサクッと、噛みしめれば濃密なあんな話こんな話が味わえるように書いています。

帰りにgggの佐野研二郎展(〜29日まで)に立ち寄りました。auのLISMOの扇子とかTBSのブタのいろんなシールとか、「えっ、こんなノベルティグッズまで作ってんだ、初めて見た」というものがたくさんあって、おもしろかったです。

小ロットのノベルティや限定生産品って、「わたしたちは特別なモノを持っている仲間たち」というコミュニティ感を創出します。TVCMや街のビルボードなどのマスなメッセージとは対極で、最近のブランディングはこの両方を使いこなせなければならない(例えば、佐藤可士和さんの仕事とか)。だからグッズはディテールにこだわり、出来る限りバリエーションを作って、限定感や特別感をより高めないといけない。優れた限定グッズは、特別な価値観を共有した証しなんです。

そこまでやるかってところまで細かく広く、しかも楽しく作り込める──そこが佐野さんの真骨頂なのでしょう。ドコモダケみたいに同じのを配りすぎて、オジサンのとりあえずストラップにさせちゃダメなんですよね。

会場には、わざわざgggまで足を運んだ人だけが共有できる、佐野さんから贈り物がありました。この金の鈴です。会場で「自由にお取り下さい」になってます。
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text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-09-21 16:23 | Comments(0)
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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