藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
スキンな建築
スキンをいじって、文字を大きくしてみた。CSS編集をちゃんと理解していないので、えらく時間が掛かった。それにしても何故スキンというのだろう。皮膚、外皮、表皮、表層である。ブログのスキンとは、雑誌風に言えばレイアウトのフォーマットのことだ。ブログの見栄えを決めるという意味があるだろうが、スキンは情報の配置を決める。

スキンをいじってタイトルや本文の文字の大きさや色、記事やメニューの位置などを変えることは、ブログの情報の構造を変えることだ。あまり文字のポイントを大きくすると長い文章は書きにくくなる。日付を大きくすればその記事は日記のような性格を強くする。スキンが記事の性格さえ決めてしまう。つまり、スキンとは構造なのだ。
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ヘルツォーク&ド・ムーロン設計プラダビルブティック青山

「スキン=構造」といえば、ヘルツォーク&ド・ムーロンのプラダブティック青山や伊東豊雄のトッズ表参道ブティックなどを思い出す。建築の表層が構造体と一体化している。元祖はフラードームだろうか。

レンガを積んだ組石造の建築も、外壁が構造体になるのだが、そこでは表層/深層という二項対立は意味をなさない。建築で表層やスキンという言葉が意味をなすのは、外壁や屋根など建築を囲うものが非物質的なものを志向しはじめた時である。

スキン=構造の建築はHPシェル構造(簡単に言えば曲面で力を分散させ逃す構造)の建築など、以前から近代建築のテーマである。構造家・建築家フェリックス・キャンデラのように、HPシェル構造を駆使して屋根をあり得ないほど薄くすることを試みた人もいる。外壁を軽く薄く滑らかな皮膜に近づけようとしたのだ。が、キャンデラの表皮は鉄筋コンクリート造であり、外部から内部を守るシェルターだ。外部と内部をつなげる界面ではない。外と内をつなぐ透明な表皮でも、外気を採り入れる呼吸する皮膜でもない。プラダもトッズもそのスキンは透明で外と内をつなぐ。

現代の建築の表層は、内と外をつなぐインターフェイスになっている。1980年代のポストモダン建築は、深層に本質があると考えず、表層のうすっぺらで交換可能な虚飾にこそ重要と考えたが、それはあくまで記号の戯れであり、その表層には構造がなかった。コンピュータがGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)を交換可能の情報の「表層兼構造」として世間に浸透させて、建築も後を追うようにその可能性を探りはじめた。
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ただし建築と情報空間が決定的に違うのは、情報空間のインターフェイスはレイヤーになっている。表層なのに層をなしているのだ。ブログのスキンの上にはブラウザのGUIがあり、僕の場合はMacOSXのインターフェイスがある。重層する表層の建築なら、ジャン・ヌーヴェルのカルティエ財団ビル(感動しました)や青木淳のルイ・ヴィトンの店舗などが挙げられるだろうが、「表層=構造」ではない。建築において「表層兼構造」が「重層性」を獲得できるだろうか。うん、まだそこまで行った建築は見たことないな。

僕は、ものの本質、人間の本質はインターフェイスだという考え方に今とても惹かれている。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-05-26 23:58 | Comments(1)
Commented by shu_tonsu at 2005-05-27 01:00
やはり文字が大きいと読みやすい!と思った次第です。個人的には感謝。老眼が始まっているのかなー。
スキン>プラダとは、いとをかし。
私も、この言い方気になっていました。たぶん、エキサイトだけですよね。各プロバイダごとのブログの名称も結構面白いです。今までで気に入ったのは、ココログですかね。ベタだけど。
紙媒体、デジタルメディアともにスキン的なるものに関心が深いブロガーが、小生のブログでリンクしている「生活日報」さんです。たぶん印刷関係の方で、知識や見方が伊達じゃないです。
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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