藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
ふるまい
振る舞い──21日のtakramの講義でも、その前日に見たイームズ写真展でも、この言葉が気になりました。不思議な言葉です。

振る舞いは英訳すれば「behavior」ですが、日本語のそれは「shake」して 「dance」 します。広辞苑を調べると「一説に、語源は『振い舞う』で、鳥が羽を振い自在に空を舞うこと」とあります。しかも、動作や挙動など身体の動きを示す言葉であると同時に、「もてなし」という意味もあります。手料理を振る舞う、酒を振る舞う……。もてなし=ホスピタリティとは、他者とのコミュニケーション。つまり「shake」して 「dance」 して、周囲を共振させる人のおこない。それが振る舞いだといえるでしょう。立ち居振る舞いが優雅な人は、周りの空気を凛とさせます。

takramが、water展に出展した作品「Furumai」でした。AXISギャラリーのイームズ写真展では、和服姿の女性の草履と着物の裾をクローズアップした写真が展示されています。イサム・ノグチの妻だった女優山口淑子の足元じゃないかと人から聞きましたが(夫妻はイームズ邸を訪ねているので、おそらくそうでしょうが確証はありません)。わざわざ着替えてもらったのでしょうか。着物違いのカットが3点ありました。僕はその足元に振る舞いを感じました。和服を着た人の体の動きが最も現れる場所は足元です。チャールズは着物の裾と草履を撮ったのでなく、場の雰囲気さえ変える優雅な身のこなしを撮ったのではないかと想像しました。

takramの「Furumai」は超撥水性加工した紙皿の上で「shake」して 「dance」 する水の振る舞いを楽しむものでした。しかしそれだけなら原研哉さんが以前から手がけていた水のパチンコなど超撥水加工の作品とアプローチは同じになってしまいます。takramの「Furumai」は、水をスポイトで紙皿にたらして遊ぶ人の振る舞いまでデザインされています。一本のワイヤーで立てられた紙皿に向かうときの人の仕草が美しい。water展のオープニングレセプションで、僕はたまたま子どもが「Furumai」で遊んでいる姿を見て、思わずシャッターを切りました。水玉が、紙皿が、そして人が自在に振い舞うのです。共振しているのです。

振る舞いと似たように不思議な言葉に「構え」というのがあります。こちらは受け身。振る舞いは共振を誘うから、どちらかというと攻め。日本語で身体性を考えると、非常に豊かな発想ができるのではないかと考えています。そこで発想したものを形に変えて、外国語に変えて、世界に発信していく。日本の創造者の責務だと考えます。

****** 追記 ******
こう考えると、Wiiは非常に「日本語的」なプロダクトだって思えてきます。テレビの前で、振い舞い、身構えて、コミュニケーションして遊ぶわけですから。日本的プロダクトと日本語的プロダクトは違うんだと、これを書いてて思いつきました。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2008-05-23 13:48 | Comments(0)
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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