藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
デザイナーは医者じゃない。
デザイナーの仕事を医者にたとえる人たちがいます。グラフィック系に多いです。間違いだと思います。仕事のプロセスを説明するための軽いたとえ話ならいいのですが、あの有名デザイナーも、この有名デザイナーも、デザイナーは医者だと、講演などで若い人たちに語るのはどうかと思います。

医者は凶悪犯罪者の命でさえ救わないといけません。それが医者の倫理です。しかしデザイナーは、姑息な手段で儲けている企業の仕事を受ける必要はありません。暴力団絡みの会社や武器商人から「ウチの会社はダメになりそうだからと看てください」と言われても、その命を救う必要はないのです。それがデザイナーの倫理です。

医者の倫理とデザイナーの倫理は「人のため、社会のため」という根本の部分では同じものですが、その実践においては決定的な違いがあります。医者は患者を選ぶことができません。それが医者の倫理です。しかしデザイナーには依頼者を選ぶことで初めて達成できる倫理があります。仕事を選んでいれば、食えない。けど、あの仕事はすべきでない。仕事を断らないとならない時があるのです。ここに勇気ある倫理が発生する。再生紙を使いました、CO2削減に貢献しました、ユニバーサルデザインを採用しましただけが、デザインの倫理ではありません。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2008-11-03 00:29 | お気に入りの過去記事
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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