藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
2005年 05月 25日 ( 1 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
ラ・トゥール展へ行き、オーラと気合いを知る
上野の国立西洋美術館に、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展を見に行きました。真筆とされる作品が40点しか残っていないため、失われた作品を知ることができるよう模作が数多く展示されています。これほど堂々と模写が真作と混じって展示されている展覧会はかつて見たことありません。

いっしょに行った“マダム美術事典”(なんのこっちゃ?)によると、フェルメールと同様で、真筆とされる作品も疑わしいものがあるらしい。これ違うんじゃないと猜疑の目で見た作品もありましたが、やはり今回の目玉、ルーブル美術館から来た「ダイヤのエースを持ついかさま師」はオーラを放っていました。模作の多い展覧会だからこそ、ベンヤミンの言うオリジナルの作品の放つアウラ(オーラ)とはこのことか!と実感できたわけです。

だけど、こうも思いました。オリジナルだからすべてがオーラを放つワケじゃない。それだと西洋美術館中がオーラでムンムンになります(建物だってコルビュジエ設計だし)。が、実際はそうじゃない。オーラを放つのは、名画中の名画だけ。常設展ではクロード・ロランの風景画などが渋いオーラを放っていました。

西洋美術館ではマックス・クリンガー版画展もやっていた。これがよかった。 クリンガーは19世紀末から20世紀初頭に活躍したドイツの芸術家です。ラ・トゥール展を含め、ひさびさシンボルとメタファーで構成されたイメージの世界に浸ることができました。こういう世界を近代は捨ててしまったのか。いやどこかで形を変え生きているような気がするのだが。
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西洋美術館で、もうひとネタ。常設展の一角で、美術館前庭の免震工事を記録した展示をやっていました。ロダンの彫刻「地獄門」や「カレーの市民」を地震から守るための工事です。ボタンを押すと考える人が揺れる免震シミュレーション模型まであって、気合いの入った展示でした。その、免震工事の過程を示した「職人の技」というパネルに書かれていた文章が、あまりに強烈だったので、隠し撮りしたのを紹介します。かなりアニマル浜口が入ってます。浅草近いし。読んでみてください。
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言葉に表してんじゃん。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-05-25 19:34 | Comments(0)


Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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