藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
2005年 07月 12日 ( 2 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
電車男のアルケミー
電車男を見に行きました。よかったです。
現代のお伽話ですから、細かい設定がどうのこうのとか、最後がまったりしすぎてるとか、そんな話はどうでもいいわけです。主役の山田孝之とエルメス役の中谷美紀が演技がすべて。お伽話のお姫様を演じる中谷美紀が特にうまかった。美人にこんな表情や仕草や立ち振る舞いをされたら、もう死んでしまう……というのを完璧に演じていた。

エルメスとはあのブランド名から来た名前ですが、おおもとはギリシア神話の神ヘルメス。蛇の杖を持った商業の神として知られるけれど、泥棒の神でもある。結構、裏を持った神です。中谷美紀があまりに男の理想のお姫様を演じている姿に、女性の影の部分を感じてしまったのは僕だけでしょうか。

ギリシアの神ヘルメスと、エジプトの天文学や数学や芸術を司る神トートが合体したのが「ヘルメス・トリスメギトス」。西洋の錬金術は、この神の誕生から始まるとされています。トリスメギトスとは「三重の」という意味。「通常の三倍」の能力を持つヘルメスってことです。

もちろんエルメスと言えばララァ専用のモビルアーマーの名。(はぁ?そっちはElmeth、スペルが違うって。ま、いいじゃないですか、日本語でかぶってんだから)。とにかく、赤い彗星の人といろんなところで繋がっているんです。

で、きっと電車男は百式のTシャツを着てる。百式はZガンダムでシャア(クワトロ大尉)が乗ってたモビルスーツ。電車男の百式は愛のメガバズーカランチャーでエルメスを打ち抜く。えっ何言ってるか分かんないって。いいです。ええい、続ける──。電車男はエルメスと結ばれ、「真の通常の三倍」の能力を手に入れる。賢者の石は通勤電車に落ちていた。「電車男」はシャアの夢物語、いや現代の錬金術の物語だったんです。

あ、そうそう、デザインの話もしておきます。オープニングのタイトルデザインがかなり秀逸。TV版のオープニングアニメもいいけど動きにやや滑らかさが欠ける。松本零士にやってもらう勇気が欲しかった。
けどTV版のOP曲がE.L.O.のTwilightというのはうれしい。僕はジェフ・リンを尊敬してますから。でもお伽話の主題歌だからXanaduのほうがよかったでしょ。と言ってみたりする。

【おまけ】結局ガンダム話になったんで、期間限定Yahoo!のガンダム占い
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-07-12 22:29
 
数寄、好き、空き
ひとつ前の投稿のもとになった短文を書いた98年のCasaにこんな原稿も書いていた。
これは加筆も訂正もしない。というのは、あとで大幅にここで語っていることを発展させてシンプリシティと遊び心の関係について書くつもりなので。

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【Diversity】
ミニマムとは多様性です。あの岡倉天心が茶道を通して日本文化を西洋に紹介した『茶の本』という書物があります。そこで茶室の話に触れています。数寄屋(茶室)の原義は、好き家であり、空き家とも数奇家ともあてられる、と。詩趣を宿すための仮の住み家だから「好き家」、ある美的必要を満たすために置くものの他は、一切の装飾を欠くから「空き家」、そして「不完全崇拝」に捧げられ、故意に何かを仕上げずにおいて、想像の働きにこれを完成させるから「数奇屋」だと天心は語っています。つまりミニマムの答えは一つではありません。人の数だけの答えが存在するのです。
(初出『CasaBRUTUS』1998年冬号)
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つまり、数寄とは余白。遊び心はそこに生まれる、って話にしてくつもり。今日の講義での発見です。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-07-12 00:43


Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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