藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
2006年 01月 31日 ( 2 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
トークのお知らせ
『ジャパンデザイン』刊行記念トークセッションの進行役を務めます。
お相手は、柴田文江さんと村田智明さん。すごいでしょ、この組み合わせ。2000年代日本のプロダクトデザイン界の新しい顔と言っていいこのお二人です。二人揃ってのトークは、他では聴けないと思います。どんなところに接点を見いだせるか。引き出し役のプロとして腕が鳴ります。

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『ジャパンデザイン』刊行記念トークセッション
【ジャパンデザイン黄金時代がやってきた!? 】

柴田文江(プロダクトデザイナー)×村田智明(プロダクトデザイナー)
進行役 藤崎圭一郎(デザインジャーナリスト)

日時:2月26日(日)14:00〜16:00(13:30開場)
会場:青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山

※要電話予約
入場料:¥500(税込)
電話予約&問い合わせ:03-5485-5511(青山ブックセンター)
定員:120名

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ちなみにタイトルは僕がつけました。2006年頃から2010年代にかけて、日本デザインの黄金時代が来てほしい。そんな願いからつけたものです。1960年代イタリアに匹敵するデザイン黄金時代は到来するか。僕にはその予感があります。

バブルの頃のように「付加価値=デザイン」でなく、ユニバーサルデザインやエコロジーデザインなど、企業やモノの倫理を構築する力としてのデザインに対して理解が深まってきています。「外見の差別化=デザイン」でなく、コミュニケーションや生活を豊かにする術としてデザインの力も理解されつつある。そうした中、景気もよくなってきたし、一般メディアで注目を浴びるデザイナーが増え、若い才能も多くなってきた。

しかし、単なるデザインブームに終わる可能性も十分あります。

黄金時代が訪れるか、ブームで終わるか。今はその重要な分岐点です。デザインの時代の到来へ、やるべきことは、教育、ジャーナリズム、プロモーションの充実、技術力を持った中小企業の育成でしょう。

イタリアにはミラノ工科大学やドムスアカデミーがあり、『ドムス』や『アビターレ』があり、ミラノサローネやミラノトリエンナーレの見本市や国際展、コンパッソ・ドーロ賞を主催したで百貨店リナシェンテがあり、天才モデラー、ジョバンニ・サッキがいて、そのほか優れた職人たちがいたから、今も昔もデザイン王国として君臨しているわけですから。ただたくさんスターデザイナーを輩出したから黄金時代が来たわけではありません。デザインのインフラが揃っていたからなんです。

ですから、日本も世界レベルのデザインの大学院を作るべきだし、日本のサッキを育てないと。先日『室内』が休刊という話を聞きましたが、デザイン専門誌を充実させないといけません。『AXIS』『アイデア』といった老舗は老舗で頑張ってもらって、21世紀生まれの若いデザイン専門誌を育てないと。そしてJIDPOのようなデザインプロモーション機関が世界に向けてどんどん情報発信してほしい。

そんな状況が合わさって、黄金時代はやってきます。
2020年頃、海外でも国内でも、日本はデザイン王国だと言われるようになっていてほしいと願っています。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-01-31 16:56 | Comments(2)
 
追悼 ナムジュン・パイク
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ナムジュン・パイクが亡くなりました。2000年だったか初めてニューヨークに行ったとき、ソーホーで車椅子のパイクを見かけました。あの時も白いシャツで吊りズボンでした。

忘れもしません。ソーホーの地下鉄の駅の出口を出たら、ビョークが歩いていたんです。シルクの深緑のドレスを着ていて目の前を通り過ぎていった。目を疑って、振り返るともういなかった。そして30分後にパイクを見かけた。ソーホーってこんなに有名人が歩いてるんだと感激したものです。

1981年僕が広島の高校から東京の大学に入って、東京で最初に見かけた有名人は小森のおばちゃまでしたから。ニューヨークですれ違ったパイクとビョークという強烈な組み合わせに、20年の時間差があるとはいえニューヨークと東京の文化密度の違いを感じたものです。

よれよれの白いシャツ、吊りズボンのパイクの姿は、マリオ・ボッタがワタリウムを建てる前のギャルリー・ワタリで見かけしたのが最初だったと思います。84年東京都美術館で開かれたパイクの大回顧展の前後のことです。

同じ時期、東京ではヨーゼフ・ボイス展が開催されていました。そして6月2日草月ホールでヨーゼフ・ボイスとパイクの伝説的なパフォーマンスが行われます。見に行きました。ボイスはマイクを両手で持ち雄叫びを放ちつづけます。パイクはショパンの曲や赤とんぼなどをピアノで演奏します。やがて鍵盤をマイクで叩いたり、ピアノの弦を直接引いたり、ピアノの下にもぐり込んだり、破壊的パフォーマンスに変わっていきます。こうして二人は東京へ“原アメリカ”の象徴であるコヨーテの魂を招きます。

霊媒師という意味でのメディアと、遠隔通信媒体という意味でのメディアが重なり合い、暴走します。メディアは本質的に魔術的非合理性から逃れることができない。パイクもボイスもそれを知っていたと思います。

84年のパイク展の会場では、衛星回線を使った世界同時パフォーマンス「グッドモーニング、ミスター・オーウェル」のビデオを流してました。いま考えると同時多発テロの予言のようです。

で、昨日、あのビデオに出演していたイギリスのポップバンドって何て名前だっけ?と思っていろいろ検索をかけました。トンプソン・ツインズ。完全に忘れてた名前です。感傷に浸るため、彼らの懐かしの曲「ホールド・ミー・ナウ」をダウンロードしようとiTunesのミュージックストアで探しましたが曲もバンドも検索でヒットせず。残念です。

パイク様、ありがとうございます。僕は深くあなたの仕事に影響を受けています。謹んでご冥福お祈りします。

*Link 朝日新聞の訃報記事
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-01-31 10:16 | Comments(0)


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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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