藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
2006年 02月 23日 ( 1 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
柏が未来してました
昨日、取材で東大、柏キャンパスに行ってきました。ちょっと未来都市してました。
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JR柏駅からタクシーで行ったのですが、この駅周辺には妙な閉塞感があります。本来ペデストリアンデッキは開放感を演出するものなのですが、大きなデパートや駅ビルに四方が囲まれているせいでしょうか、平日午後なのに人出が多いせいなのでしょうか、狭いんです。
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それにくらべ東大周辺はえらく広々している。日立柏サッカー場と、柏の葉公園総合競技場(東大に隣接)の違いとでもいいましょうか。東大の研究棟はやや威圧的なスケール感が気になりました。威風堂々としたスケール感がいいという人いれば、大きければいいってもんじゃないって人がいるのは、サッカースタジアムと同様ですね。

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帰りは初つくばエクスプレス。渡辺誠さん設計の柏の葉キャンパス駅がいい感じでした。奇抜な外観ですが、押しつけがましさがありません。目立ってナンボのヘンテコ感がないのです。渡辺さんのHPにこの駅のデザインが詳しく解説されています。パネルのモチーフは「流れ」です。写真のコントラストをあげると、表皮に施された流れが光の流れとなって浮かび上がってきました。「流れ」というモチーフを電車でなく駅のデザインに使うところがさすがだなと感心しました。駅は止まる場所だけでなく、流れをつなぐ場所でもあるのですから。

流れのデザインは、ニューラルネット(神経系を模した学習アルゴリズム)を用いたプログラムから生まれたものだとか。HPによると渡辺誠さんは「INDUCTION DESIGN」というデザイン生成プログラムの研究開発中のようです。自然世界の多様な形は、自律的に自己組織化へ向かうプログラムから生ずる、と考えるサイバネティックスの知見が生かしたプログラムです。デザインがデザインを自律的に生んでいく「自己言及・自己組織化するデザイン」とでも「サイバネティック・デザイン」とでもいいましょうか。

表皮はインターフェースです。ただこの建築の場合、外と内の境目で空気や光をやりとりする皮膜といったありきたりなインターフェイスだけでなく、「思念」と「物体」とのインターフェースにもなっています。この流体の形は「自己組織化への意思」と「物質」の界面に生じた波動──。僕はそう読み取りました。

ただし写真と逆側の外装デザインは、凹凸あるパネルが使われておらず凡庸。予算の関係なのだろうか。外装に薄紫色の波型文様がプリントされているだけ。なんかカーテンの柄のようで安っぽい。やろうとしていることには興味はあるけど、褒めるわけにはいかないデザインです。

来月また東大に行くので、今度は昼間の写真も撮ってきます。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-02-23 13:12


Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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