藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
2007年 06月 26日 ( 1 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
くぼみ傘
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先々週の木曜日、表参道で雨に降られて、深澤直人さんデザインの±0の傘を買いました。講義でこの窪みの話をよくするので、突然の雨に「そうだ±0のショップが近いし、やっぱり自分で使ってみなくちゃ」と思ったわけです。使い勝手はいい……というか極めて「ふつう」です。それが狙いだということはわかっています。ワンタッチ機構もありません。

4200円はやはり高いと思いました。素材感に特別さがないため、傘本体に1000円、窪みに3200円払っているような感じです。たしかに柄に付いた窪みは楽しいです。握っていると窪みをつい親指でクリクリいじる。まだ窪みに買い物袋を無意識のうちに掛けて交差点で信号待ちするって行為まではアフォードされていません。雨がやんでレジ袋を持っているという状況が訪れてくれないので。

色がとてもいい。地味な色ですが、いやいや、そんなことはない。明るいのです。柔らかい光が透過して、洋服の色が映えます。じめっとした季節にはこの明るさがうれしい。

ただし、父の日や母の日のプレゼント──もうとっくに過ぎてしまいましたが──にするには、この窪みの楽しみは微妙すぎますね。「環境側に情報が埋め込まれていて、モノが行為を誘発するっていうのがアフォーダンス。この窪みがその典型例さ」っと説いても、分からない人にはさっぱりでしょう。それより高級感のある柄や生地を使った傘のほうがいいって話になる。といっても、高級な傘はもっと高価です。

大事に使いたいと思います。いつかこの窪みが思いもしない使い方をアフォードして(与えて)くれるかもしれません。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-06-26 17:12 | Comments(6)


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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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