藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
2008年 11月 02日 ( 1 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
長い一日
午前中は自宅で仕事。12時に市ヶ谷の法政へ。『DAGODA』を学生といっしょに新宿オゾンまで持っていき、SoCaのtakramと鈴木元さんのレクチャーで配布。takramの田川さんと21_21のスタッフの方に挨拶。すごく聞きたかったトークだったけど、スペイン大使館でセミナーの司会をしないければならないので、開場前に退出。

15時から大使館で「エモーションをデザインする」と題されたセミナー。5組のスペイン人デザイナーがプレゼンテーションをした後、僕がステージの上でインタビューする仕事。各組5分。なるべく観客の方と同じ目線で突っ込もうとしましたが、さらりとかわされることも。大使館の展示デザインを担当したエクトル・セラーノには「照明でモノの素材感が分からないけど、どうなのか」とか単刀直入に聞いてみました。
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5組、それぞれ面白かったです。ただ全体にスペイン的なデザインとは何なのかが見えにくい人選ではありました。。僕が面白いと思ったエクトル・セラーノルイス・エスラバミゲル・モラは、いずれもロンドンのRCA出身。RCAで学んだデザインプロセスが染みついているようです。

モラの洋服にQRコードのシールを貼っておくと、監視カメラには自分の顔がモザイクになって映るというプロジェクトが面白かった。プログラミング次第で顔のモザイクをピースマークにもできるわけで、シールひとつで攻殻機動隊S.A.C.の笑い男になってしまうわけです。インタビューの時、笑い男の話をしたけど、通訳さんに事前に打ち合わせせず、僕が攻殻とか笑い男とか言い出したので、訳してもらえなかったと思われちょっと残念。

で、セミナー後の懇親会に少し顔を出した後、AXISギャラリーへ。eating + design展へ。オープニング以来2回目。気になることがあったので確認しに行きました。感じたことは後日書きます。

隣のJIDA Design Museumで開催しているSEIKO POWER DESIGN PROJECT(11/3まで)を覗く。毎回ちゃんと見ているわけではないですが、今回のはイイ!と思いました。各時計に東京の地名をつけて、イメージを喚起している。名前は後からつけたものとか。0.01ミリ精度でデザインされる硬質な時計が地名をつけるという言葉遊びによって、スッと硬さや厳格さから解き放たれる感じ。丸の内と大手町が対極の時計になっているところなんか、ホント2008年の東京感覚です。10年前だといっしょのイメージだったわけですから。

妻と合流して森美術館のアネット・メサジェ展(11/3まで)へ。土曜日8時過ぎの六本木ヒルズ森タワーは、展望台に目当ての人で混雑するのですね。チケットを買うのに行列が出来てました。写真を使ったインスタレーションを見て、美術ジャーナリストの妻に「なんかボルタンスキーにかぶってるね?」と言ったら、「パートナーよ」と。知りませんでした。知らないでボルタンスキーが頭に浮かんだ自分の直観力にちょっと自信を持ちました。

怖い夢のことをたくさん思い出しました。見たくないもののイメージが頭の中を駆け巡りました。記憶の中にうごめいている黒くて輪郭がなくて底知れぬものが、かわいいはずのぬいぐるみの、柔らかい形・やさしい色を依り代して、壁に貼り付けられたり、目の前で動いています。それがアネット・メサジェの作品でした。

作品はとにかく「カジノ」がスゴい。真正面から座ってみることをオススメします。1回数分の物語性のあるインスタレーションですが、立ち尽くしてました(いや座って見てたんですけど)。眼が呆然とするって感じだったんです。半透明だった赤い絹布が、照明の加減で、不透明のボリューム感の持つ柔らかい量塊になる瞬間に引き込まれました。照明によって動脈の血の輝く赤から静脈の黒い赤になったり……終わりのない血=生命の物語……数年ぶりに深く感動した現代アート作品でした。

で、23時25分の回の「レッドクリフ」を観る。公開初日。満員。豪傑たちのパフォーマンスを見る映画ですな。金城武の孔明の立ち方がかっこいい。筆で描いた孔明像を意識していると思いました。ゆるやかな弧を描いているんです。2時に終わって、帰宅。長い一日でした。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2008-11-02 12:57 | Comments(2)


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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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