藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
2009年 03月 09日 ( 1 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
しゃべること
すごく久々にGEISAIを見に行きました。けっこう質の高い作品が多かったですが、このイベント自体が時代から少しズレはじめているようにも思いました。

「私、特別な感性を持ってます。人とのコミュニケーションは苦手です。私の感性は言葉にした瞬間に崩れてしまいます。でも、絵は上手です。写真は上手です。分かってください」系のナイーブな描き込み・作り込み作品は、嫌いじゃないのですが、でも、もうそういうものを、自己表現だとか、小さなゆるやかなコミュニティだと評価する時代じゃない。キャラクター系はドアラや、せんとくんとか、過激なものをふだん見ているので、現代美術として見てもあまりインパクトは感じないし。

21世紀ゼロ年代の終わり、わかりあえる人たちの、同じノリを共有できるコミュニティから1歩踏み出す勇気が、アーティストに限らず、すべての人に問われています。GEISAIに出展するということ自体が半歩踏み出す勇気だと思います。ですが、もうあと半歩……。「伝えたい、伝えてこの世の中の何かを少し変えたい」という思いを感じた作品はほとんどありませんでした。ネットなどの進展で、引きこもりだって社会と関わる手段があるのが現代です。セルフヌードやパンツを見せることだけが、勇気じゃないんだけどな。
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会場の片隅で行われていた東浩紀さんのゲリラトークを主宰した人たちのほうに、僕は「今」を感じました。先日見た桑沢の卒制展で、子どものための教科書をつくって、ずっと一人でプレゼンしていた人がいました。「今ネットだと死ねとか平気で書き込みますよね。この頁には『死ね』『好き』と書いてあります。どちらか好きなほうを、私の目を見て言ってみて下さい」。迫力のプレゼンでした。彼女にも、僕は「今」を感じました。伝えたいことがきちんとあって、一歩踏み出してしゃべりつづけること。しゃべる場をつくる勇気が、今、問われているように思います。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-03-09 11:27 | Comments(4)


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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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