藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
カテゴリ:お気に入りの過去記事( 51 )
text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
依存マップ:アンケート篇
僕の講義を受講する藝大生と桑沢生約260人に「あなたの依存するもの」を問うたアンケートをiMindMapでまとめたものをアップします。(金曜日に藝大の講義の時に配布したものより、はるかに進化しています)。

ありゃ?全然文字が読めない……。画像をクリックすると拡大します。
()内は整理するために僕が付け加えた項目ですが、後はすべて学生たちの答え。食とメディア関係が多いなあ。

依存が細分化された項目にはビジネスチャンスが転がってます。依存とはリピートしてくれる顧客ということですから。

依存は自立と拡張の前提ということを示すために、僕が調査なしに製作した前回投稿のマップが間違っていなかった証明にもなってます。高齢者とかOLとかの依存マップをつくると相当面白いはずです。

個の自立を標榜した「近代」が行き着いた先は、依存の多様化だった。自律のための適度の依存はどこにあるのか。

d0039955_224563.gif

text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2010-05-30 01:49 | お気に入りの過去記事 | Comments(0)
 
依存マップ
d0039955_19494138.gif
本日藝大のデザイン概説で使った「依存マップ」を公開します。
画像をクリックすると拡大します。

昨日iMindMapをダウンロードして、講義直前までせっせと作ったものです。改変・加筆予定なのβ版。今日の講義は途中で話が終わってしまいました。来週続きを話します。

依存は自立/自律の前提。適度な依存はネガティブでない。人は水とも太陽光とも「共生」しているのでなく「依存」している。20世紀の社会は石油依存&経済成長依存を深めすぎ、ネガティブな意味での依存症状態になっている。企業は消費者をぎりぎりの依存症状態にすることをニーズと呼ぶ。

依存は拡張の前提でもある。身体やネットの適度の依存は人の能力を拡張させる。拡張された身体と知性の複合体(complex)から創発的な現象は起こりうるか。個は創発に対してどのようなスタンスであるべきか。「つくる」ということに主体的でいられる規模とは? そんな話をするためのマップです。芸術がひっくり返っているのもミソなのです。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2010-05-21 19:41 | お気に入りの過去記事 | Comments(1)
 
こんなアンケートをやってみた
金曜日の藝大での講義「デザイン概説」で、受講生がどんなジャンルにどれほど知識があるか調べるために下のようなクイズ形式アンケートを行いました。基礎的質問が中心ですが、中にはひねったものもあります。全問正解という人はいませんでした。暇つぶしにお試しを。正解は下にあります。

最も関連が深い項目を選んでください。

アーツ&クラフツ運動
1 アメリカ   2 アイルランド  3 フランス  4 イギリス
5  わからない

田中一光
1 西武百貨店  2 東武百貨店  3 ダイソー  4 ジャスコ 
5  わからない

亀倉雄策
1 キヤノン  2 オリンパス  3 ニコン  4 マミヤ 
5  わからない

イサム・ノグチ
1 モエレ沼  2 印旛沼  3 手賀沼 4 牛久沼 
5  わからない

チャールズ&レイ・イームズ
1 椅子  2 パソコン  3 靴  4 自動車 5  わからない

アナスイ
1 コスモス  2 コスプレ  3 コスメ  4 コスパ 
5  わからない

佐藤卓
1 おいしい牛乳  2 六甲のおいしい水  3 おいしい生活 
4 おいしいカレーの作り方  5  わからない

デザインのデザイン
1 佐藤可士和  2 G.G.佐藤  3 原辰徳  
4 原研哉 5  わからない

荒井良二
1 カーデザイナー  2 絵本作家  3 アートディレクター 
4 歌手 5 わからない

宇宙船地球号
1 アーサー・C・クラーク  2 バックミンスター・フラー 
3 シド・ミード  4 ルイジ・コラーニ 5  わからない

バウハウス
1 パウル・クレー  2 ピエト・モンドリアン  
3 ジャクスン・ポロック  4 犬小屋  5  わからない

アール・ヌーヴォー
1 直線  2 曲線  3 抽象  
4 ワイン 5  わからない

スティーブ・ジョブズ
1 IBM  2 Google  3 Apple  
4 Microsoft  5  わからない

タイポグラフィー
1 ファッション  2 写真  3 文字  
4 イラスト  5  わからない

コム デ ギャルソン
1 カワクボ  2 エクボ  3 コクボ  
4 オギクボ  5  わからない

インターナショナルスタイル
1 ロマン主義 2 合理主義 3 表現主義
4 トンカツには醤油をかける主義 5  わからない

アフォーダンス
1 環境に情報が埋め込まれている
2 情報に環境が埋め込まれている
3 環境に廃棄物が埋め込まれている
4 情報に間違いが埋め込まれている
5  わからない

インタラクション
1 双方向  2 一方通行  3 高速道路 
4 空気力学  5  わからない

レーモンド・ローウィ
1 ピース  2 マイルドセブン  3 ゴールデンバット
4 マルボロ 5  わからない

サステナビリティ
1 地球にやさしい  2 人間中心主義  3 経済効率
4 持続可能性 5  わからない

マーク・ジェイコブス
1 グッチ  2 ルイ・ヴィトン  3 プラダ
4 エルメス  5  わからない

ジル・サンダー
1 イケア  2 H&M 3 ユニクロ 
4 ブックオフ  5 わからない

ディック・ブルーナ
1 キティ  2 キューピー  3 スヌーピー 
4 ミッフィー  5 わからない

ブルーノ・ムナーリ 
1 サル  2 クマ  3 ゾウ  
4 トラ  5 わからない

柳宗理
1 マーケティング  2 スタイリングデザイン  
3 アノニマスデザイン  4 ポストモダン  5 わからない

ジャパニーズモダン
1 倉俣史朗  2 剣持勇  3 深澤直人  
4 三宅一生  5 わからない

21_21デザインサイト
1 骨展  2 皮展  3 脳展  4 肉展  5 わからない

GK
1 コショウ入れ  2 醤油瓶  3 マヨネーズ  
4 ケチャップ  5 わからない

けいおん!
1 大阪アニメーション  2 東京アニメーション
3 京都アニメーション  4 横浜アニメーション
5 わからない

マクロス
1 板野サーカス 2 木下サーカス 3 ボリショイサーカス 
4 安田大サーカス  5 わからない

ル・コルビュジエ
1 サグラダファミリア  2 ロンシャンの礼拝堂
3 光の教会  4 バルセロナパビリオン  5 わからない

ミース・ファン・デル・ローエ
1 Less is More  2 形態は機能に従う
3 住宅は住むための機械である  4 地球は青かった
5 わからない

フランク・ゲーリー
1 マドリード  2 アルハンブラ  3 ビルバオ
4  バレンシア 5 わからない

妹島和世
1 プリツカー賞  2 フィールズ賞  3 ノーベル賞
4 サイ・ヤング賞  5 わからない

エットレ・ソットサス
1 メンフィス  2 パリ  3 アトランタ
4 シカゴ  5 わからない

カロッツェリア
1 ピニンファリーナ  2 マルゲリータ  3 モローゾ 
4 カッシーナ  5 わからない

D-BROS
1 ドラフト  2 ライトパブリシティ  3 博報堂  
4 日本デザインセンター  5 わからない

岡倉天心
1 花の本  2 家の本  3 美の本
4 茶の本  5 わからない

奈良美智
1 みち  2 びち  3 みとも  
4 よしとも  5 わからない

村上隆
1 日本画  2 油画  3 先端芸術表現 
4 工芸  5 わからない

ジャン=リュック・ゴダール
1 勝手にしやがれ  2 大人は判ってくれない  3 甘い生活
4 死刑台のエレベーター 5 わからない
 
黒澤明
1 東京物語  2 下妻物語  3 燃えよドラゴン
4 七人の侍 5 わからない

ミッシェル・フーコー
1 監獄の誕生  2 キリストの誕生  3 生命の誕生 
4 振り子の誕生  5 わからない

思想地図
1 東浩紀  2 ハイデッカー  3 西田幾多郎 
4 ヴィトゲンシュタイン  5 わからない

マルセル・デュシャン
1 便器  2 洗面器  3 花器  
4 食器  5 わからない

以上、お疲れさまでした。

正解を見る
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2010-04-12 10:16 | お気に入りの過去記事 | Comments(6)
 
私家版「雑誌原稿書き方_全111条」
昨日の【雑誌原稿書き方基礎講座】で使ったKeynoteに書いていたことを改変・再編集してアップします。全111条。僕が個人的に積み重ねてきたノウハウです。ライターだけでなく編集者としての心得も混じっています。仕事をしてきた出版社が違えば、このノウハウも違うものになったでしょう。だからあくまでも私家版です。デザイナーや建築家やアーティストや工学研究者の取材記事執筆を前提にした話であることをご了承ください。

*アップデート情報
・全110条を全111条にしたり、第74条を追加して他を統合したりなど、こそこそ修正しているので、3/5にアップしたものとは少し変わっています(3/8記)
・95条の説明に奥義を追加しています。43条追加。41条を統合(3/12記)
・いくつかの項目を加筆しました。(2012年4/30記)
・追加一項目。(2012年5/26記)
d0039955_1341167.jpg
001) いろいろ試したがやっぱり起承転結。
002) ツカミが大切。
003) 「結」は軽めに。最後に大事なことを書いても、雑誌の場合、読者が最後まで本文を読んでくれるとは限らない。
004) キーワードをつくろう。
005) 二項対立で考える。対立する概念を考え出して、二つを照らし合わせて論旨を展開すると、わかりやすい叙述となる。使いやすさのための効率化、コスト削減のための効率化。
006) 難解な文章のほとんどは、専門用語の多用と筆者の文章力の欠如のせい。
007) 難しいことはやさしく。世の中のたいていの難しく見えることの本質は、シンプルな原理でできている。数式が理解できないジャーナリストでも科学を伝えることができる。
008) センテンスは短く。長い文章は必ずどこかで切ることができる。
009) 音読して推敲を。文章のリズムやキレまで確かめられる。周りに迷惑のときは、頭の中で発音する黙音読。
010) リズムを学ぶには名文を書写しよう。コピペじゃ意味なし。キーボード打ったり、ペンを握って。
011) 体言止めはなるべく使わない。 (キャプションでは頻出可)
012) である調、ですます調。基本はどちらかを選ぶ。効果的に混在させる方法もあり。混在させるときはリズムを確かめて慎重に。
013) 接続詞は減らそう。最初に書いた接続詞をとってみても文意が通じる場合がある。
014) 主語、述語は常に意識すること。
015) 英語に訳しやすい文章を心がけると、文意が明快になる。
016) 「すごい」は使わないように。どうスゴイかを別の言葉で表現しよう。どうカワイイか、どうカッコイイか、どう美しいか、どうイケてるか、どうヤバイか。
017) ステレオタイプの言い回しはなるべく使わない。◎◎さんの今後に期待したい。体当たり演技でヌードを披露。
018) 「物は言いよう」の精神を忘れずに。
019) 繰り返し同じことを書かない。テレビは感動シーンを何度も流すが、雑誌は同じ文章は載せない、同じ写真は載せない。
020) 雑誌原稿ではなるべく同じ動詞を直近で繰り返さない。言った。語った/野菜をつくる。野菜を育てる/使う。使用する。用いる。
021) 「の」の連続は3つまで。美しい文章を目指すならMAX2つを心がける。ただし文章を長くするより、3つ「の」を続けたほうが収まりのいい場合がある。◎◎さんの元彼の従兄弟の紹介。
022) 長い文末表現はなるべく使わない。カワイクないはずはないであろう。表現しようとしているわけである。
023) 難読漢字にはルビ(ふりがな)をつけよう。
024) タイトルとキャプションだけを読んでも面白い記事にしよう。
025) 雑誌はノンリニア。小説や新書はリニア(線的な)メディア。雑誌は、タイトル、写真、本文、リード、キャプション、小見出しなどの要素が連携して読者を惹きつける多層構造をもつメディアであることを意識すること。
026) 読者のための入り口はたくさんつくる。タイトル、リード、小見出し、キャプション、イラスト、写真は読者を誘う入り口。雑誌の写真やイラストは、本文の説明のために存在するものではない。
027) 雑誌は身体的メディア。雑誌は単行本より、読み手に複雑な目の動きや手の動きを要求する。単行本や新書では目の動きは行ごとに折り返すものも一直線。手の動きも一方向に繰るだけ。雑誌は身体に近いメディアだという認識を。だから息つぎやリズムが大切になる。
028) タイトルの文体は雑誌の個性。
029) キャプション字数のMAXは80~120字。(僕の経験的感覚から出た数値ですが)
030) キャプションの内容はある程度本文と重なってもよい。
031) 長文には小見出しを。文章の途中からでも読めるようにするのが小見出し。文頭から読んでくれる読者にとっては、大切な休憩所。
032) 小見出しを入れるべき位置は、国語のテストの解答とは違う。内容の区切りのいい場所であるだけでなく、レイアウトや、各ブロックの文字量のバランスも考慮に入れる。
033) 小見出しは段落末に来ないように。
034) リードは本文を読んでもらうための宣伝文句。読みたくなる文章を。
035) 改行後の1~2字余りは、前の文章を削って送りこむ。
036) 句読点は読み手と書き手の体のリズムを合わす装置。読点の打ち方に正解なし。無闇な、打ちすぎは、リズムを、壊す。センテンスが長いのに読点を打たないと区切りがわからずリズムが生まれない。
037) 改行は息つぎ。改行がない文章は息苦しい。
038) 雑誌原稿では、行幅(1段の文字数)を考えて、改行を考える。行幅短めは多めに改行を。
039) 文末に「──」や「……」を使うと余韻が生まれる。藤沢周平の小説が参考になる。 しかし、使うのは1つの記事で1〜2回まで。
040) 口語表現を意識して使おう。使いすぎは避けること。親密さやライブ感の演出として効果的に使う。
041) とかとか書くな。「とか」「って」「(文末の)けど」「じゃない」「~だし、~だし」などは適度に。
042) 方言を使うときは慎重に。多くの場合、方言を全面的にそのまま書くのは好まれない。大阪弁でしゃべる建築家某氏。インタビュー原稿をチェックしてもらうと、原稿は標準語になって返ってくる。東京にいると忘れがちだが、「何々しちゃった」も首都圏の方言。多用は禁物。
043) 文末の(笑)は多用しない。(笑)と書かなくても文章で笑わすようにしよう。
044) ( )はなるべく使わないで表現しよう。使ったほうが読みやすい場合もあるが、頻出は禁物。記事の中に( )が増えると、流れが寸断され読みにくい文章になる。
ル・コルビュジエ(本名、シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ)は20世紀フランスを代表する建築家(生まれはスイス)。→ ル・コルビュジエは20世紀フランスを代表する建築家。出身地はスイス。本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレという。
045) 雑誌原稿は論文とは違う。
046) 注に頼るな。文末注にすると読者の読む流れを分断してしまう。注は引用先の記載などに留めたほうがいい。
047) 「思う」「感じた」「なのではないだろうか」「かもしれない」「でしょう」「ようだ」「みたいな感じ」といった断定を避ける表現の多用は厳禁。
048) 流行り言葉は賞味期限をよく考えて。紙メディアは残る。後で読むと気恥ずかしい思いをしないように。「フォーー!」「ちょいワルオヤジ」「だっちゅーの」
049) 「彼」「彼女」は使わない方向で。使いすぎは英語の直訳文のようになる。
050) 「とても」「非常に」「かなり」など強調の副詞も連続して使わないこと。 「とても多い」と「多い」ならば、後者の方が強い言い切り。「とても」「非常に」には主観が混じるからだ。裏づけデータを明記して「多い」と言い切るのが客観性のある強調。
051) 漢字の連続は、文章を重くする。そのためにひらく。「ひらく」とは平仮名にすること。
052) ひらく勇気を。漢字が書けるからって頭がいいわけじゃない。ひらくは散髪。文章の軽快に見せるための、グレイ部分の濃度調整。
053) 表記ルールをつくろう。漢字表記は統一しよう。数字の表記統一も考えておこう。下に、フリーペーパー『DAGODA』で使う表記ルールを掲載するのでご参考に。
054) アルファベット表記はカタカナ表記にしたほうが読みやすい。特に縦組みの場合はカタカナ表記で。
055) 縦組みでのアルファベット使用のルールを決める。たとえば4字以下の場合はアルファベットを縦に並べるなど。
056) 外来語のカタカナ表記では「・」(ナカグロ)をどう使うか決めておこう。なるべく使わない方向が一般的。ランチ・タイム→ランチタイム。どこに切れ目があるかわからない馴染みの薄い単語には「・」を入れる。グレースフルデグラデーション → グレースフル・デグラデーション
057) 「」と。の関係。出版社ごとに違う。僕の使い方は、段落内の文末は「……でした」。段落の最後(改行前)の文末では」のあとに「。」をつけない。「……でした。」を使う出版社もたまに見かける。
058) 「」内に「」を使うな。どこが区切りかわからなくなる。『』を使うのが一般的。“”や〈〉なども使うことあり。
059) 文学系はスキャナー 理工系はスキャナ。工学者の文章には語末の音引きが入らない。デザイン・アート系の雑誌なら音引きを入れたほうがいい。でも僕はコンピュータだけは音引きを入れていない。例外というのはどこにもあるものだ。
060) 外国語の正確な原音表記は無理。慣用的な表記を尊重しよう。ゴッホじゃないよ、オランダ語ではホッホだと言い出すと切りがない。
061) 経験的に言って、アート・デザイン系の雑誌は「つくる」を平仮名表記にしたほうがいい。
062) 表記ルールは全員遵守。しかし突っ込みはじめると矛盾点が必ず出るので、運用は柔軟に。
063) 相手が何を言ったかでなく、相手が何を言いたいかを常に考えよう。伝えたいことをうまく言葉にできない人は多い。相手が伝えたいことを汲みとれれば、文章をきれいに整理できる。
064) インタビュー、対談、座談会は、記録ではなく読み物として仕上げる。 最初に話した話が後半再び出てきたときは、2つをまとめても最初の話を後に持ってきて結合させても可。ある質問の答えが突出して長い場合、質問をつくったり「ふむふむ、納得です」という受けの言葉を挟んで、長いコメントを2つに分けるという裏技もあり。もちろん取材相手・座談会参加者に必ず原稿をチェックしてもらうこと。
065) 取材相手に原稿チェックしてもらうことが前提なら、わかりにくい表現は書き換えてOK。どこまで大胆に書き換えられるかがプロのライターと素人の違い。
066) 対談、座談会では参加者が別の参加者の発言に手を入れるのは厳禁。下手すると訴訟問題になる。自分のコメントのみチェックしてもらう。 流れを変えてしまうような直しは、相手の直したい意図を汲み、流れを変えないように書き直して再チェックしてもらう。「地の文方式」(097参照)の取材原稿なら、当人のコメントと事実関係をチェックしてもらうことはあっても、筆者の観点や意見を変えるような直しは応じる必要はない。むげに断るとトラブルのもとだから、電話で話し合おう。
067) 裏をとれ。
068) 偉い先生が語る言葉が真実とは限らない。
069) わかりやすい話をする人は要注意。論理的に破綻いるが、話術が巧みなだけの人がいる。
070) 知らない言葉は即調べよう。知らないことを知らないままにするな。調べるクセをつけよう。嘘も方便の「方便」って何? よく考えたら本当の意味を知らない言葉は意外と多い。
071) 人名など固有名詞の表記の揺れはグーグルで多数決。デヴィッド・ボウイかデイヴィッド・ボウイか。
072) Wikipediaを全面的に信用するな。でも、どんどん利用しよう。
073) ひと晩寝かそう。 朝、再度読んで完成。自分が最初の読者。編集者が第二の読者。
074) 「"直すな"オーラ」を発する原稿を心がけよう。編集者も取材された側も、最初は遠慮して赤字(修正)を入れる。しかし直しが増えはじめ、校正紙が赤く染まり出すと、赤という色のせいなのか、次第に暴力的な気持ちになり、最後にはあるブロックを丸ごと書き換えるといった事態にまでなる。ケアレスミス撲滅を心がけ、スキのない原稿を仕上げよう。
075) 紙媒体の間違いは一生残る。校正はじっくり念入りに。
076) 文字校正はなるべく多くの人で回し読みしよう。
077) 人名、団体名は何度もチェック。プロフィールの生年も要注意。僕はあるデザイナーを10歳年上にして恨まれた。女性なら死活問題。
078) 電話番号の校正は、必ず実際に電話すること。
079) ラフを描こう。文章はラフを頭に置いて書く。文字の量、写真の大きさ、位置関係を簡略に示すラフを描く能力は、編集者やライターの必須の能力。優秀な編集者は取材現場でサラサラとラフを描く。取材現場で仕上がりイメージをスタッフ全員で共有できるようにする。ラフについては「フクヘン」のこの記事で。
080) 取材で面白いと思ったことは全部書こう。ライターや編集者の資質は何を面白いと思えるかにかかっている。
081) 取材が終わったら同行の編集者とお茶しよう。インタビューのどこが面白かったかを編集者から聞き出すのは、ライターにとって第二の取材。編集者が面白いと思ったことを聞き出せば、雑誌の方向性に合わせることができる。
082) 取材は過剰に、定着はシンプルに。 10日かけて10分で読める原稿を。
083) 削って削って、最後にくだらんこと言える余裕を残そう。
084) 削りきったと思った原稿も、少し時間をおいて読めば100行(15〜20字詰めで)で内容は変えずに3行は減らせる。
085) エッセイは個人の主観を描く読み物、取材記事は客観性重視。客観的な事実の積み重ねで、自分の視点を伝えよう。
086) 「私」や「僕」を出すのは避けよう。私が主語の実体験の叙述は、読者との距離を縮めるための演出。
087) 客観性は脚で稼げ。
088) リサーチを重ねて断定を。裏付けのない断定、論理的でない断定は信頼を低下させる。
089) 引用先は明記せよ。
090) 読者は数字が大好き(価格、原価、発売日、売上、開発期間、ギャラ、クルマなら最高速度、など)ただし、クリエイターの取材の際は、数字を聞き出すタイミングに細心の注意を。オマエ数字のことしか訊かないなと思われないように。
091) 取材時の録音機は必ず2台用意する。
092) 時間的余裕のあるときは、一字一句録音起こし。僕は出来る限り自分で雑談まで録音起こしをしている。そのほうが相手の話のリズムや考え方が体に染みつくので、後から原稿を削ったり、あいまいな表現をわかりやすく変えたりしやすい。
093) ノート取材のほうが原稿執筆の時間はかからない。ノートに高速に発言を書き写す訓練を積むこと。
094) 録音機を使うと相手はしゃべりつづける。ノートだけだとたいてい相手は書き写すまで待ってくれる。
095) 話し手もしゃべりながら、うなずいている。そのリズムに合わせてうなずこう。 話し手の頭に合わせてうなずくと、話を聞いていなくても、話し手はちゃんと聞いていると思ってくれる。ここは原稿に使えないという話になったときは、うなずきながら次の展開を考える。録音しているときは、僕は相手の話の2割くらいは聞いていない。うなずくときに声を出さない訓練をすること。「うん」「ええ」「はい」と声を出していると、たまにタイミングの悪いところで「うん、そうです」と言ってしまい、聞いてないのバレてしまう。もちろん面白い話のときは、声を出して頷こう。「いや〜、その話は面白いですね」と受けると、さらに話が深くなる。
096) 目を見るのは大切。ただしタイミングを考えて。日本人は折りをみてじっくり目を見る。欧米人はずっと目を見ていたほうがいい。
097)「地の文」か、「Q&A」か、「談」か。
筆者の文章の中に相手のコメントを「」に入れて構成するのが地の文方式。「地の文」方式はコンパクトに情報をまとめられる。多方面からコメントをとることもでき、読み物としての構成もしやすい。取材側の視点を明確に伝えたい場合に適する。
「Q&A」方式は簡単だが、文章が長くなる。臨場感が出る。
「談」方式は取材者になりきる。文章力・構成力の試金石。取材相手が何を伝えたいかをライターが明快に理解していないと書けない。筆者の視点は、どの部分を削り、どこを強調するかで表現できる。
098) アーティストやデザイナーはナイーブ。「引き出す」という姿勢に徹し、気持ちよくしゃべってもらったほうが面白い話が聞ける。他人の作品と比べられると、気分を害す人が多い。
099) 「でも」の連発にはご用心。相手が日本人の場合、話の受けに「でも、◎◎なんじゃないですか」と自分の意見を言い過ぎると、コイツはオレのことわかってないと思われて、とっておきの話が聞けなくなる。初対面のインタビューの冒頭では、取材相手はインタビュアーとの距離感をはかっている。「間合いの時間」での無計画な自己主張はしないほうが無難。反対意見をぶつけてみるのは、取材の後半、取材相手との距離が縮められたなと思ってからにしよう。
100) 取材相手が年輩の方の場合は、相手の話の腰を折らないように。脱線しても我慢して話を聞く。一通り聞いてから話を元に戻す。
101) 怒らせて引き出すという手段もあるが、本音を言わない政治家や後ろめたいことをやっている企業家向けのやりかた。アーティストやデザイナーや建築家の取材では、怒らせるとあとあと面倒なのでやらないほうがいい。
102) 取材のときは手みやげで好感度アップ。センスが問われる。特に相手が女性のときはじっくり選ぼう。手みやげは1500円から2500円くらいが通常。もちろん安くたって喜ばれる。
103) 相手の資料はしっかり読んでから取材に望もう。ただし1週間前に読んでも忘れる。前日や直前に集中的に読んだほうが効果的。
104) 取材時はおもむろに相手の著書や雑誌記事のコピーなどの資料をテーブルの上に並べよう。
105) 質問の内容は事前に考えておいたほうがいいが、インタビューが始まったら質問事項にとらわれないこと。流れが大切。ちなみに僕は、駆け出しの頃には質問を事前に考えたが、今はしない。考えていくのは取材時間が30分くらいのときと、相手が欧米人のとき。
106) 相手が何を伝えたがっているかを考えて話を聞く。雑談や脱線したような話にも、相手の伝えたい大切なことが潜んでいる場合がある。流れを読んで質問をその場で考えるのは、それを逃さないため。
107) 常にこの話は原稿に使えるだろうかを考えて相手の話を聞く。
108) 欧米人は質問に「答える」ことに慣れている。だから外人インタビューでは必ず質問を用意する。日本人は質問を「かわす」のに慣れている。したたかな日本の巨匠は質問を用意してもかわされて、しゃべりたいことだけしゃべって終わる場合が多い。
109) 沈黙を恐れるな。相手が沈黙しても慌てない。一回大きくうなづけば、相手は自然にしゃべり出す。
110) 取材先にお礼の言葉を添えて送本するまでが雑誌制作。
111) 人をつなげるのが編集者。
以上。

追加項目
1)  相手の話のどの部分を面白がるかで、取材相手の信頼関係が短時間で築けるか否かが決まってくる。「そこ面白がってくれるのか」「そこ分かってくれるか」と思ってもらえれば取材はスムースにいく。ライターの専門性が出てくるのもココ。ツボだと思うところは「ああ、それ面白いですね!」と表明して、突っ込んだ質問をすること。
2) ええ。そう。ですね。そうですね。いいえ。いえ。いえいえ。いやいや。うーん。うーむ。ふんふん。ふーむ。ふむ。質問を受けて、相手がどういう反応したかは、相手が発話したままを書くのでなく、肯定・納得・否定・反感・戸惑い・迷いの度合いを書き手が用意した言葉に翻訳した方がニュアンスが伝わる。駆け出しのライターだったころ、「ふむ」というのをうまく使う先輩ライターの名文を何度も読み直したものです。実際に「ふむ」と言ってなくても、「ふむふむ」という相づちが自然に聞こえるような流れを作るのがライターのお仕事。
3) 自分にしか聞けないインタビューにしたいのだったら、最も大切なことは、私はあなたのことを(あなたの仕事を)○×♪♯×○と思うけどときちんと表明して、それで、どうですか?と問いかけること。ただ最初からそれをやると、言いたいことの内容によっては、相手が萎縮する場合があるので、タイミングには十分注意すること。
4) ロングインタビューで何回かに分けて話を聞くときは、話を聞く場所を変えると効果的。最初は事務所。次は居酒屋、その次は自宅とか。
5) 「◎◎だけど〜」と人はよく言う。だが、たとえ書き起こした原稿の文末が「けど」「けれど」「けれども」でも、「が」と書き直したほうが、字数も減るしスムースに読める。「昨日は売り上げが良くなかったけれど、今日は持ち直している」→「昨日は売り上げが良くなかったが、今日は持ち直している」
6) 悩んで長時間をかけて書いた一節をばっさり削る勇気を持とう。
7) 他人の文章を内容は変えず全く違う文章に書き換える訓練をしよう。この努力をしないとコピペをつなぎ合わせた文章を平気で書いてしまうことになる。

論文のようにきちんと作品キャプションや参考文献を記述する場合は、下を参考にして下さい。(2015年5月26日追加)
d0039955_11183011.jpg
d0039955_11222152.jpg


★『DAGODA』の表記ルールを見たい方はここをクリック★
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2010-03-05 16:19 | お気に入りの過去記事 | Comments(10)
 
スマートスモール
最近Twitterに書き込んで思考を練っています。あちらで書いたこと、ブログにも載せます。

*******

スマートスモール(SmartSmall)は、僕が提案する10年代のキーワードです。中小企業(←弱者)とか職人(←時流に遅れている)とかフリーライター(←胡散臭い)とか言うのやめましょうよ。自ら考え自ら作り自ら発信し他者と自発的に繋がる存在。みんなまとめてスマートスモールです。

スマートスモールが成立できるようになったのは、ネットの存在が大きい。都市生活者は長期停電すればスマート(=自律的)でいられなくなる。危うい仮想的自律のもとに成り立つのが10年代のスマートスモール。けど後戻りできない。突き進むしかない。創発を期待して。

SmartSmallの対立概念はBigMass。今の大企業って終わりなき成長を信じ、毎日スゴく努力してデカい筋肉をつけてうっとりしてる人に似てる。優れた企業は禁欲的に鍛錬。ズルい企業はステロイドを打つ。どちらも大きくなりすぎるとしなやかさが失われる。だからスマートスモール。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2010-02-05 11:14 | お気に入りの過去記事 | Comments(5)
 
適正価格の空洞化──「ふつう」の背景
11月6日に産経新聞関西版夕刊に寄稿した記事「適正価格の空洞化」を少しばかり加筆してアップします。

*************

40年前の1969年、ラーメンは80円だった。では、今ラーメンの値段はいくらかと問われればちょっと答えに困る。総務省統計局の東京都区部での調査では588円。しかし300〜400円台で食べられる大手チェーンもある。名の知られたラーメン専門店なら500円台で食べられれば安い。700円台でも高いと思わない。価格が二極化して、適正価格が空洞化しはじめている。

同じことは、そばやコーヒーにも衣料品にもいえる。1969年コーヒー1杯100円だが、今はスタバで飲むか、マックで飲むか、街角の喫茶店で飲むかで、しゃれたカフェで飲むかで、値段が違う。街角の喫茶店の数が減ってきている。どこで飲むかかどこで買うかによって適正価格が左右されて、平均的な価格で商売するふつうのお店が街から少しずつ消えつつある。

ドン・キホーテが10月14日、690円のジーンズを売り出した。買いに行ったが店頭にない。5日間で3万本が完売になったという。結局、近所のダイエーで買った880円のジーンズを買ったが、はき心地は悪くない。細かく言うと通気性が少し気になるが、言うほどのことはない。ブランドを示すタグや特長あるステッチが皆無なので、普段着にするにはちょうどよい。

で、880円のダイエーのジーンズに、ユニクロの長袖Tシャツ、ダイソーの100円の五本指靴下で原稿を書いている。いま身に着けているもので一番高いのは1500円のブリーフである。

現在進行する価格の二極化は、品質の二極化ではない。逆に「安かろう、悪かろう」が減ってきたから、価格が二極化しているのだ。

高額なモノにはワケがある。吟味された材料を使って手間をかけて作っている。だから高い。ワケを納得した上で、人は高いモノを買う。最近の「安くてもけっこうイケるモノ」には、ワケの見えないものが多い。モノの値段の背景には、グローバルな経済システムやブランディング戦略などの複雑なカラクリがある。

投機家が原油価格を乱高下させれば、モノの値段に反映される。どれだけ手間をかけて作っているかより、どの国で作っているかが価格を決める鍵となる。同じ工場の製品でも、企業の物流コスト削減努力で値段が変わる。モノの価値はモノづくりからかけ離れる。マクドナルドの期間&時間限定で行った0円のコーヒーには、コーヒー豆を収穫する貧しい労働者の記憶はこれっぽっちも残っていない。

無印良品が誕生した頃の広告コピーは「わけあって、安い」であった。1980年代の無印良品にはパッケージに安さのワケが書かれていた。たとえば紙皿には「ラミネート加工を省いたからお安くなりました」とあった。メーカーよりも消費者に近い流通側の視点から「素材」「生産工程」「パッケージ」を徹底的に見直し、良い品が安い価格で提供できるワケを消費者に正直に伝えていた。現在の無印良品は「安さ」より「良品」であることを売りにしていたため、一部に良さのワケを書いたパッケージはあっても、安さのワケの記述は消えている。

消費者に近い流通側が価格をデザインするという潮流は大きな流れとなって今も続くが、もし現在のディスカウントショップが価格のワケを正直にパッケージに書きはじめたら、消費者はドン引きするかもしれない。「倒産した会社の倉庫に眠っていた在庫を引きとってきました」「中国の工場で日給○○円の従業員が作りました」……。

安価なモノからはモノづくりが切り離される。逆に高額なモノは、デザイナーの名前が強調されたり、こだわりのモノづくりが神話のように語られる。産業の空洞化が価格の二極化を招く。

次に起こることは、空洞化された適正価格をデザインする動きだろう。本来「適正」や「スタンダード」や「ふつう」という価値基準は自然に生まれるものであって、誰かが提案するものではない。お手頃価格やお値打ち感は、もはや需要と供給のバランスや主婦の金銭感覚から生まれず、誰かが「ふつう」という共同幻想を操作した結果から生まれる。

適正価格が見えなくなり、何を買ったら「ふつうの生活」かも分からなって、コレを買えば「ふつう」だとか、ここに来れば「ふつう」という商品やサービスが現れる。デザイナーやトレンドを作る人たちが「ふつうがいいよね」と語りはじめた時は要注意である。その「ふつう」は世界の窮状を全く見えないように住み心地よくデザインされた「ふつう」である可能性があるからだ。

************
本稿は、本ブログ08年1月8日のこのエントリーを発展させたものです。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-11-09 18:58 | お気に入りの過去記事 | Comments(17)
 
最近心がけていること
流れを感じること。流れに乗っても、調子に乗らないこと。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-10-18 11:25 | お気に入りの過去記事 | Comments(0)
 
こっそり・うっとり・しっとりデザイン
最初の音に促音が付き「り」で終わる言葉に「デザイン」という言葉を組み合わせると面白い。

たとえば、うっとりデザイン、むっちりデザイン、がっかりデザイン、しっぽりデザイン、すっきりデザイン、にっこりデザイン、まったりデザインなどなど。

こっそりデザインは深澤さんの言う「without thought」のような意味にも使えます。ググると、すでに「こっそりデザイン」という言葉を「without thought」に絡めて書いている人がいました。佐藤卓さんのクールミントガムの右から2番目の手を挙げたペンギンもこっそりデザインですね。でも、「こっそりうっとりデザイン」というとまたちょっと違う意味になる。「うっかりそっくりがっかりデザイン」とか、ネガティブな意味にも使えます。

下に羅列した言葉に、デザインという言葉をつけてみてください。
イマジネーションが湧いてきます。

あっさり
うっかり
うっとり
おっとり
がっかり
かっきり
がっくり
かっちり
がっちり
きっちり
きっかり
ぎっくり
ぎっしり
きっぱり
くっきり
ぐっしょり
ぐったり
げっそり
こっきり
こっそり
ごっそり
こってり
さっぱり
ざっくり
しっかり
しっくり
じっくり
しっとり
じっとり
しっぽり
しゃっきり
すっかり
すっきり
ずっしり
そっくり
たっぷり
だっぷり
ちゃっかり
つっぱり(形容詞系とは違いますが)
てっきり
どっきり
どっさり
どっしり
どっぷり
にっこり
ねっちり
ねっとり
のっそり
のっぺり
はっきり
ぱっくり
ばっしり
はったり(これは名詞ですが)
ぱったり
ばったり
ばっちり
ぱっちり
びっくり
びっしり
ひっそり
ぴったり
ぷっくり
べったり
ぺったり
ほっこり
ぽっかり
ぽっきり
ぽっくり
ぽってり
ぼってり
まったり
みっちり
めっきり
むっちり
むっつり
もっさり
もっちり
やっぱり
ゆっくり
ゆったり

日本語、好きだな〜。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-10-14 10:32 | お気に入りの過去記事 | Comments(4)
 
デザイナー・ダイイング
昨日のトークでブログを書き始めた動機のことをちょこっと話しました。2005年5月の当ブログ開設当時、アニメ「攻殻機動隊」、その続編「イノセンス」にハマっていて、自分もネットを外部記憶装置として使ってみようと考えたって話です。自分の考え方を整理するのに、その内容をネットに公開すれば、文章も書き殴りでなく、職業は物書きですから、まとまった文章を書かざるを得なくなり、結果、思考の質も高まるだろう。そう思ったんです。

もうひとつ直接的な動機としては──5月の岡田さんとのトークで語ったことですが──、自分の書いたものに対して反応が欲しいということもありました。ライターとして雑誌の仕事をしていると読者とコミュニケーションする機会は皆無。たまにあっても編集者経由でしたから。

で、さらにもうひとつ、第三の動機がありました。トークの時は主題から離れそうな気がして話さなかったのですが──。

ブログを立ち上げる前後だったと思います(ですから後付けの動機ということになるかもしれません)。ユビキタスコンピューティングのことを調べていて、その概念の提唱者マーク・ワイザーのHPに行き当たりました。HPでは、ワイザーが最初にユビキタスを語った論文や、学会で発表した時に使ったスライドを閲覧できます。個人的な旅行写真も見ることができます。

けれど、もうその時ワイザーは故人でした。1999年46歳で亡くなっています。

彼のHPは今も見られます。笑顔のワイザーの写真が迎えてくれます。一種の不死です。ワイザーはユビキタスコンピューティングのことを調べたい世界中に人々に、ワイザーは微笑みかけながら、その思考を無償で提供してくれます。

本を書いたり雑誌記事を書いて、その書籍や雑誌が国会図書館に所蔵されると、自分の生物学的な死を超えて、自分の書いたものが世の中に残ってくれるんだと思えて、僕は幸せを感じます。けれど、それは不死の感覚とは別のものです。

個人HPにはもっと親密感があります。@btfのトークで鈴木芳雄さんがブログや雑誌など距離感の話をしてくださいましたが、もともと親密感のあったHPはその主宰者が亡くなっても親密感が残るようなのです。

たとえば資料館になっているような有名文学者の生家など、主人不在の家を訪れると、なんだかむずかゆいような寂寥感が残ります。もうその人はここにはいないという感のほうが強くなるのです。

個人HPは、もともと主人がいない仮想空間で、仮想的に主人が一対一で語りかけてくれる親密感が演出されています。ネット検索でたまたま訪れたウェブページでは、更新されていないことはわかっても、その人がこの世にもういないとことには気づきません。

ワイザーのHPは、一見してもうずいぶん前に更新がストップしたことのわかる古いデザインです。しかし、こんな重要な論文や歴史的な発表のスライドを公開してくれるのか、明日の講義にもそのまま使えるとか思うと、有り難さだけが残ります。まるで家に招待してくれて御馳走をいただく気分。引用させていただいたお礼メールを書きたくなる。死んでる人にメールを送る人もけっこういると思われます。

日本のネット創生期、もう10数年以上前だったと思います。何で注目されていたか忘れましたが、けっこう話題になっていた本業歯医者さんのホームページがありました。突然更新が止まって、数か月後訪れると、奥さんが「主人が亡くなりました」という書いていました。でも、もし亡くなりましたって書かなければ、どうなるのか。ネット上の死は全ページ削除なのか、本人の死なのか。そんなことをいろいろ考えさせられました。

今だってもうすでに亡くなった人のウェブページを、その人が生きていると勘違いして、見ているかもしれません。ハンドルネームだけだったりすると、生死は確かめようもありません。

ココカラハジマルもネット上の不死を目指してます。マーク・ワイザーのような重要論文が無いので半永久的な不死は難しいですが、生物学的な死とネット上の死が同時ならないようにしたいと思ってます。残響をどこまで残せるか。

そのためにはもっともっと良コンテンツを増やさないといけないわけで、生物学的死はまだまだ迎えられそうにありません。

自分の外部記憶装置は、他者の外部記憶装置でもあるのです。

こうしたことはティモシー・リアリーの『死をデザインする』という本にも感化されています。日本では2005年に出た本で、すぐ買ったのですが、いまだに完読せず、たまに拾い読みばかりしてます。

原書名はDesign for Dying. その第三章はDesigner Dying(デザイナーダイイング/翻訳ではデザインされた死)です。デザイナーダイイングは、受精卵の遺伝子操作して、たとえばブロンズの子が生まれるようにするなど、子の能力や外見を親の思い通りにしようとする「デザイナーべビー」に掛けた言葉だと思います。「死」はおそらくデザインのもっとも対極に位置するものです。しかし死に方や死の状況はある程度デザインできる。外部記憶装置としてネットを使うことは、死をデザインすることにつながっていると思ってます。

そんなことを考えていたことを昨日のトークの時に思い出しました。やはりトークはいいですね。脳が活性化されます。本日は、昨日の考えがいろんな形で広がって、あっという間に一日が過ぎていきました。仕事しなきゃ。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-07-26 21:49 | お気に入りの過去記事 | Comments(2)
 
同意は要らない
仕事でもこのブログでも、文章を書くときは「わかってもらう」ことを心がけます。この場合「わかってもらう」ということは、伝えたいことを明確にして、それを相手の心に届けるということです。自分の考えに賛同してもらうことではありません。「発言する」とは、予期せぬ反応を引き受けること。それには勇気が必要です。わかってもらって、異なる考え方や反対意見を述べてもらえることが出来れば、そこには議論の空間が生まれ、有機的に複数の思考がつながりあいます。

「わかってもらう」ことばかり考えて仕事をしていると、誤解されたり否定されたりすることが怖くなります。賛成してもらったり共感してもらわないと気が済まなくなっていきます。

本当に怖いことは「無視」や「無関心」なんです。誤解は何かを生みます。否定に向かい合い語り合えばひとつ上の次元のコンセプトを得ることができます。しかし無視は何も生まない。

日常のどんなに些細なことでもいいから、世界に対する関心を掻き立て、語り合う場を増やし、複数の思考が有機的につながりあう空間をつくることで、「無視」が減っていく。だから多くの人がスモールメディアを自発的つくることが重要だと考えています。

マスメディアの「無視」は強力な権力行使です。取り上げられない人や事象は歴史に埋もれていきます。スモールメディアの関心は力が微弱です。しかし自律分散するスモールメディアが自己組織化して、メタメディアになる可能性があります。コミケは同人誌というスモールメディアが自己組織化したメタメディアと見る捉え方もできるわけです。(もちろんコミケはしっかりした運営管理組織があるわけで、真の自己組織化とか創発だとか言えませんが……)。

ある閾値を超えると、スモールメディアは自己組織化することでメタメディアとなり、既存のマスメディアに匹敵する力を持つかもしれない。

スモールメディアが既存のマスメディアと同じ形態をとる必要はないと考えています。特にデザインジャーナリズムの場合は、メディアのあり方自体をどうデザインするかという姿勢も、そこに書かれている記事と同等に大切なことです。

どこまで雑誌らしさや書籍らしさを崩せるかといった実験もありだと思っています。でも判読性を崩すようなやり過ぎは禁物。昨日のトークの冒頭では、その失敗例(実験内容の失敗ではなく、売れなかったという意味での失敗ですが)を話しました。

情報の受け手は、メディアのフォーマットが変わることを嫌います。そこを納得してもらうのが、作り手のワザなのですが、簡単なことではありません。本を買う人は本らしさも同時に買っています。アーティストの作品集ならアーティストブックという枠組みをつくって、作り手の実験を理解してもらうようにしますが、なかなかお金を出してくれません。作品集は作品が大きく載っているのに越したことはないわけですから。

雑誌のあり方をデザインするときは、雑誌らしさをいかに残してながら新しい要素を入れるかを考えないといけません。書籍もブログも同じ。ここがホント難しい。

批評が目的ではありません。関心の輪を広げることが目的です。輪の中から批評は自ずと立ち上がります。スモールメディアがつながれば、新しい形のデザインジャーナリズムが見えてくるかなって思ってます。そんなことを@btfのトークを振り返りながら考えてます。

トークでもうひとつ気づいたのは、話すこともジャーナリズムだということ。当たり前のことなのかもしれませんが、僕は今までその意識に欠けていたように思います。ジャーナリストが人前でしゃべるときは、明確に今話していることもジャーナリズムの一環だという意識を持たないといけない。

仕事で記事を書くときは、ある程度読者の反応を予想しながら書けるけど(たとえばこの表現は煽りすぎだとか、ネガティブな言い回しになっているとか)、話すことに関してはそうした技量がまだありません。その分、翌日、トークの反応が知りたくてハラハラしながらネット検索している小心者の自分がいるわけで、まだまだプロのジャーナリストとしての器量も勇気も欠けることを自覚したり……。

同意よりも、多様な意見を引き出せる力を鍛えます。

d0039955_2213598.jpg

右から、フクヘンの鈴木さん、ぽむ企画の平塚さん、Glyph.の柳本さん、藤崎。みなさまお疲れさまでした。運営の@btfのスタッフの方々、長時間の話を聴いていただいた参加者のみなさま、有り難うございました。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-07-26 17:15 | お気に入りの過去記事 | Comments(0)


S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

Twitterもやってます!

*当ブログの奥座敷
KoKo Annex

ライフログ
最新のコメント
以前の記事
カテゴリ
ブログジャンル
リンクについて
当サイトはリンクフリーです。
お気軽にリンクして下さい。

本ブログの記事と写真の
無断複写・転載を固く禁じます。




Copyright 2005-2016 Keiichiro Fujisaki All rights reserved
本ブログの記事と写真の無断複写・転載を固く禁じます。