藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
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text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
情報の巣
94年のピーター・ガブリエルのインタビューの続き。

Q:インタラクティブ・メディアが発展することによって、第三世界が、農業から工業化を経ずに情報産業に飛躍できる、というあなたのコメントを雑誌『ワイヤード』で読みましたが?

「ええ、私はこの考え方を強く信じています。多少の経済システムが必要なことは分かっていますが、この考え方が好きなのは、小さな《情報の巣》を生み出すことができるからです。衛星と、それぞれの村にその衛星とリンクできる小さな情報機器、そして太陽光発電があれば、電話も通じないような遠隔地でも、完全に独立し、かつ、情報の加工に参加できる。もちろん言語が障害になるでしょうけど。こういった考え方が私をワクワクさせてくれる。情報の巣にはそんなにお金がかからないだろうからね。1万ドルくらいあれば、何とかやっていけるだろうし、こうしたことが起これば経済の形態も変化せざるを得ない。援助プロジェクトの多くが、お金がしかるべき所にきちんと使われていないのが、現実なんだ。政治の腐敗は至る所にあるからね。日本でもイタリアでもイギリスでも…。もし安価なテクノロジーが直接に人々の手に入るならば、それは、プロセス全体を官僚や政治を通さずに彼ら自身が運営していく手段になるだろう。それは釣竿みたいなものだね。富裕な社会ではこうしたことに対する議論が巻き起こっている。ひとつの解決は、まず与えること。第三世界にほんの少しテクノロジーの種を植え付けることなんだ」



94年2月、まだインターネットのWWWブラウザはMosaicしかなかった頃です。この年の12月にNetscape1.0が発表されます。インターネットが爆発的に普及し出すのは翌年からです。ネット環境は大きく進化しました。しかし第三世界の状況は変わったでしょうか。もう一度「情報の巣」という考え方に立ち帰ってみてもいいと思います。
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by cabanon | 2006-08-08 10:30 | Comments(0)
 
種を蒔く人
13年前はインターネットの時代でなく、マルチメディアの時代でした。
1993年ピーター・ガブリエルが《Xplora1》(エクスプラーロ1)というCD-ROMを発売しました。音楽と映像をインタラクティブに楽しめるマルチメディアタイトルの傑作として当時大いに話題になりました。
翌94年2月、『BRUTUS』の編集者からプロモーションのために来日するピーター・ガブリエルを明日(!)取材しないかと電話がかかってきて、30分弱だったかインタビューをすることができました。学生時代からずっとファンだったんです。なんたる幸運。そして、大天使ガブリエルは僕にインスピレーションを授けてくださいます──。

「私の姉(妹)が科学の先生をやっていてね。科学の授業を楽しいものにするのは大変だという話を聞いていた。人が何か学ぼうとするときには、本来それを動機が必要なものだ。しかし学校では強制されること多い。自然な好奇心の種を蒔くこと。教育のプログラムの大半は、教師と生徒との関係に依存している。例えば、1対1で良い教師と5分間向かい合うことができれば、40人のクラスで1週間かかること以上のことを学べる。コンピュータテクノロジーに可能性があるとすれば、そういった良い教師の役割だと思う。適切な例は思い浮かばないけれども、ひとつ挙げるとすれば数学かな。一番苦手でね。とても良い教師がいたんだ。その先生は、私が十分に理解したことが証明できるようになるまで、次の課題に移ろうとしなかった。こういったプロセスにこそ、教師の本領が発揮される。コンピュータにはそれができると思う。1対1のパーソナル・コンタクトが可能になるからね」



マルチメディアへの熱に浮かされてた時代は過ぎました。コンピュータが、面と向かって良い教師と対話する体験の代わりになるとは決して思いません。しかし、うまく使えば、種を蒔く有効な補助道具にはなるでしょう。この時初めて「体験デザイン」(エクスペリアンス・デザイン)という考え方があることを彼の口から聞きました。

好奇心の種を蒔くために、デザインという知恵が何ができるか?  いや、いろいろできそうだ。もっとインタラクティブにならないと。もっとテクノロジーの最先端へ。体験へ。

あの時そんなことを考えたのが、僕の今の書き仕事の「原点」になっています。12年前、たった30分間、良い教師と1対1で向かい合った体験が、僕に道を示してくれたのです。

あまりに空疎な週末を送ったので、古いデータを読み返してちょっと原点回帰してみました。
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by cabanon | 2006-08-07 11:40 | Comments(2)
 
直すべきか、直さざるべきか。
ベルリンの蚤の市で買ってきた小型目覚まし時計。高さ4センチ弱。旧東ドイツ製です。止まっています。中の機構を見ても素人にはゼンマイ式か電池式かすらわからない。動かないものかと、本日、近所の時計屋さんに見てもらい行きました。
「これ何度かお客さんが直らないかって持って来たことあるよ」
と言いながら、白髪の主人が裏蓋を開けて説明する。
「ゼンマイ式だね。これはピンレバー式と言って使い捨てみたいなもの」
「じゃ修理はきかない?」
「直る可能性は10中7くらいだね」
「いくらかかります?」
「5000円はもらわないと」
たしか8ユーロ(1100円)で買ったはず。考えました。で、今日は手持ちもなかったので、修理しないことに。でも、やっぱ動いてくれたら楽しいかも。
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by cabanon | 2006-08-05 16:15 | Comments(0)
 
今夜のビールのおつまみ
このパッケージ、とても好きです。
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竹中罐詰のオイルサーディン。美味いです。天橋立のある京都府宮津市製ですから、このパッケージになったようです。にしても、文字情報を最小限にして、風景写真を大胆に使ったこのデザインはお見事、です。
おそらく、店頭単品売り用でなく、箱入り詰め合わせ用だから可能になったデザインでしょうが。
LINK*丹後の名産品を扱うサイトはこちら
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by cabanon | 2006-08-05 11:38 | Comments(2)
 
迷路
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多摩平団地にて。
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by cabanon | 2006-08-02 08:11 | Comments(0)
 
ドナルド・ジャッドの遺作 @ ファーレ立川
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ピシッとアタマ揃え。箱だけでなく壁まで作品と言っていいかもしれません。いい作品です。
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by cabanon | 2006-08-01 20:25 | Comments(0)


Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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