藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
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text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
GDP、10の雑感
GDP2007(グッドデザイン・プレゼンテーション2007)へ行ってきました(26日まで)。メモ書き程度に感じたことを綴ります。
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1) 触れる展示品が増えていた。いや、ほとんどの製品が触れた。デザインの良し悪しが来場者にも評価しやすくなっている。これはかなり画期的。「触らないでください」と書かれたものもあったし、透明ケースに入ったものもあったが、おおかた触れ座れ、いじくれた。触るなという製品を触っていた人もいて、少し心配だったが、でもデザインは見るだけじゃ評価できない。触れる展示は、今度も続けて欲しいし、いや全製品を触れるようにしてもらいたい。

2) 会場レイアウトがシンプルになって、見やすくなっていた。

3) マンションの展示に「記憶の継承」と謳うコピーが、とても目についた。10件以上あったような。土地の記憶を壊す元凶が、記憶の継承なんてどうなのよ。購買者のほとんどが、もともとあった風景を知らない人たちだから、そんなウソが通じる。偽装記憶継承者はGマークに選ばないで欲しい。

4)  韓国勢が目立つ。特にケータイ。喜多俊之さんが今日のGDPのトークショーで、誰かに「技術は日本。デザインは韓国」って言われたという話をしてた。世界の視線はそう見る方向に流れているかも。韓国勢はデザインに力を入れているというのが分かりやすい。ややスタイリングに寄っても、ブランディングに寄っても、とにかく分かりやすく「デザイン」をアピールしている。プラダとLGのコラボとか。ま、日韓(それに中国)が、デザインのいいライバルになるのがいいと思いますが…。

5) そういえばiPhoneがなかった。来年かな。出てたら、みんな触りまくってたはず。考えてみれば、アメリカ製品やアメリカ生まれのデザインってほとんどない。世界支配に消費財は不要ってことでしょう。情報とマネーとエネルギー利権を握って、モノでは世界支配をしないというのがアメリカの戦略なのでしょう。

6) パチンコとかアーケードゲームとかエンターテインメント系がなくなった。グッドデザインという枠組みでは、ワル(不良)とかカワイイとかエロとかキモいとかゴージャスとかのデザインは評価するのは難しい。GDP自体はシンプルに「グッド」という評価軸で突き進めばいいと思うけど、感性価値創造なんて経産省が言い出すなら、「グッド」と違うデザインの評価軸が必要なんじゃないか。

7) 去年からだけど、ソニーが目立たなくなっている。松下電工が地味にいいプロダクトを出してた。展示デザインは、キヤノンの白い丸い布にデジカメなど小さな製品を置く展示がいい。やさしい感じ。逆にサムスンは黒すぎて格調高くはあるが、親しみやすさに欠けていた、

8) キッズデザイン系が今年の注目か。今年キッズデザイン賞が(JIDPOとは別組織で)創設されてるし。キッザニアとかWiiとか、かなり強力な大賞候補かな。Wiiはキッズだけじゃないけど。僕の大賞候補のふじようちえんは、ちょっと目立たなかったような。

9) とうとうランボルギーニまでGDPに出品されてた。反則でしょw

10) トヨタのブースの一角で、1/5クレイモデルの実演制作をやっていた。GDPに欠けているのは「人と人の対話」。たった3日間なのだから、担当デザイナーが自分の作品を説明したりするブースがもっとあっていい。トヨタのモデラーの方は、子どもに実際にクレイモデルを削ってもらったりして、「対話」をしていた。こういう機会を増やしてもらいたい。
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以上、思いついたまま。今年は面白かったです。
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by cabanon | 2007-08-25 23:14 | Comments(3)
 
イヌカンサツ
山椒は小粒でもぴりりと辛い、という展覧会でした。三軒茶屋の生活工房ギャラリーで行なわれている「犬の鑑札 リデザイン展」(26日まで)へ行きました。会場はとても小さい。最初、えっ作品、これしかないの、と思ってしまいました。植原亮輔さん、神山隆二さんら、クリエーターがデザインした犬鑑札が5点。それとすでに札幌もペットショップMOBBYが商品化している鑑札入れの6点です。
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犬の鑑札のリデザインといっても、正確には、「鑑札入れ」のデザインです。犬を飼うと自治体から「犬鑑札」の金属プレートが渡されます。そのデザインは自治体によって違うのですが、自転車の防犯登録のプレートのように、愛想のないものがほとんどです。なかには「狂犬病予防注射済」と書かれていているものもあります。こうした「かわいくないプレート」をつけない飼い主がけっこういるそうです。しかし、こうした犬が何らかの理由で飼い主のもとから逃げ出したり、迷って家に帰れなくなって、保健所に保護されると、結局「鑑札をつけていない」という理由だけで処分されてしまう。全国の施設で致死処分される犬は、毎年13万頭いて、そのうち半分が鑑札をつけていない犬だそうです。

デザインがダサイから犬鑑札をつけないとか、かわいいからつける、というのも飼い主の意識としては、おかしな点がありますが、でも、犬をモノのように扱っているお役所的なデザインよりは、飼い主が愛犬に抱いているイメージを反映した、かわいいものや高級感のあるものほうがいいに決まっています。

展示されていた作品は、奇を衒ってあまり現実的でないものもありました。良かったのは、神山隆二さんとPORTERのコラボ。商品化すれば売れそうです。

それぞれの作品のレベルがどうのというより、この展覧会自体の芯の通った構成が素晴らしいと思いました。多くの人があまり意識していない問題を提起して、実際に解決策のサンプルを提示し、来場者一人ひとりがこの問題を考えるきっかけになる。クリエーターのお祭りで終わらず、小さな空間の中で、うまくメッセージ性のある内容を構成している。致死処分場写真が掛けられていましたが、しばし立ち尽くして、いろいろ考えました。

世田谷区では、深澤直人さんに犬鑑札のデザインを依頼したそうです。鑑札入れでなく、鑑札自体のデザインです(今回の展覧会では深澤さんの作品は見られません)。展覧会だけで終わらずに、思いが人の心をつなげ、現実を変えていく。素晴らしいことです。

【関連リンク】 深澤さんが犬鑑札デザインをすることを伝える毎日新聞の記事。どんなものができるか、楽しみですね。
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by cabanon | 2007-08-14 16:35 | Comments(7)
 
スキン+ボーンズ
「終了間近」印が激しく点滅しだしたので、本日は「スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション」を見に、国立新美術館へ。13日(月)までです。ここって火曜休館なんですね。

建築とファッションを対等に見せているのですが、建築への斬新な視線が表明されているわけではなく、ファッションを1980年代以降の建築のボキャブラリーで読み解くところがミソの展覧会です。展覧会の構成に、ところどころ「?」と思うところがありましたが、ふだん見ることのできないファッションがたくさんあったので、楽しめました。特にベルギーものとか、僕はあまり詳しくないので勉強になりました。

特に「?」と思ったのは、1980年代以降をテーマにしながら、巧妙にポストモダンという言葉を避けていること。その一方で脱構築という言葉をかなり感覚的に拡大解釈して、コム デ ギャルソンファッションや山本耀司、ヴィヴィアン・ウェストウッドなどの1980年前後の仕事や、1990年代のマルタン・マルジェラらのベルギーファッションをまとめるキーワードとして使っている点でした。

おそらく、今回は、表層(スキン)と構造(ボーンズ)との関係を問う展覧会だから、表層と意味との関係を考えるのを避けたのでしょう。70年代〜80年代、建築の記号化がポストモダンを標榜する建築家たちの間で議論されますが、実践は思うようにはいきませんでした。しかし、皮肉なことに90年代になると、建築家の記号化が起こります。90年代後半から、建築家のブランド化が急速に進展し、消費社会の表層でファッションと建築が結びつける原動力となっています。メディアが、一部の建築家やデザイナーを特別な感性をもつ選ばれし者、もしくは行きすぎた経済効率主義に対する文化の守り人として繰り返し紹介することで、創造神話が絶え間なく生成され、高付加価値ビジネスを支えつづけています。

ファッションビジネスの舞台裏でもある、こうした状況まで考察すると、展覧会として話が広がりすぎます。ま、それはわかるのですが、だからといって「脱構築」を既成概念の転覆みたいな意味で使うのは、ひじょうに無理があります。脱構築を語るなら、表層と構造と意味の三者の関係をきちんと問うべきです。

もうひとつの大きな「?」は、身体性の言及が浅いこと。もちろん、身体性は最も今日的なテーマですから、それなりには触れられています。「シェルター」というテーマの中で、ファッションや建築が、人間の第二、第三のスキンであることが語られています。

しかし、ここに展示されていたハイファッションとっての身体は、すべてモデル体型のためのものでした。あまりにひとつの、しかも世間的に見れば奇異な体型に固執した表現なので、滑稽でさえあります。モデルという標準的身体との関わりばかりで、老人、幼児、肥満、ひとりで歩けない人などの身体との関係の言及はありません。まして欠損した身体のサイボーグ化といった21世紀的な問題には、一切触れられていません。

最も面白かったのは、ヴィクター&ロルフの「ロシアン・ドール」のビデオと実物。これだけでも見に行く価値があります。「身体能力の拡張」でなく、「身体拘束の拡大」というファッションのもうひとつの面を、モデルに次から次へと着せていくというパフォーマンスで、見事に浮き彫りにしていました。服自体も魅力的。僕はフランスのBD作家(コミック作家)のメビウスの世界を思い出しました。

お目当てのひとつだったフランク・ゲーリーのビデオはえらく冗漫。スタジオ風景と、作品のCADと映像は貴重だったのですが、ダラダラした構成で見たいシーンになかなか辿り着かない。僕は全部見たけど、ほとんどの客は15秒くらい見て、次へ。建築系のお客よりも、ファッション系の人たち(特に学生)が多かったようです。

で、夕刻の国立新美術館のロビーで一休み。西日がいいです。サントリー美術館の階段室の西日と双璧かも。
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by cabanon | 2007-08-10 21:02 | Comments(0)
 
働くオジサン
妙にリアルですね。環七にて。
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by cabanon | 2007-08-02 12:15 | Comments(6)


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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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