藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
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text & photo by Keiichiro Fujisaki

 
生きている書体、修悦体
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JR日暮里駅に行ってきました。駅の警備員の佐藤修悦さんがガムテープで作る書体「修悦体」を見に行くためです。午前10時くらいでしたが、駅は谷中へお彼岸のお墓参りに行く人でかなり混んでいました。
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すでに書きましたが、9月14日、桑沢の集中講義で「GDP@KDS」と題して、200人の学生に「自分がグッドデザインだと思うもの」を持ってきてもらい、展示会を行いました。全員がチップで投票し、上位約20名が1分間プレゼンします。その中で、ダントツで印象に残ったのが「修悦体」を展示した学生のプレゼンでした。
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アルバムをめくって驚きました。うわ、この子、修悦さんとツーショット写真を撮ってる! しかも自分の名前を修悦体で作ってもらっている!!
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プレゼンで彼女は熱く語りました。日暮里まで出かけ、佐藤さんに話しかけ、頼み込んで文字を作ってもらったこと。「桑」という文字は、このプレゼンのために佐藤さんが制作してくれたものでした。大サービスで、彼女の名前と「でざいん」という文字も作ってもらいました。そこまでやるかってパワーが200人を惹き付けました。月曜に課題を出して金曜発表という中3日半の短期間です。課題を出した僕が最も感激しました。
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で、彼女がそこまでやるならと、本日、日暮里駅へ出かけたのです。日曜日にもかかわらず、なんと佐藤さんが作業の最中でした。「写真を撮ってもいいですか?」と話しかけ、「学生がお世話になりました」とお礼をしました。「突然やってきて、明日までって言われたから大変でしたよ」と微笑んでいらっしゃいました。とてもいい方です。
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文字もかっこいいけど、制作途中のガムテープが抽象絵画のようです。
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日暮里駅は修悦劇場と化していました。駅の改良工事が終わって仮囲いが撤去されれば、プロがデザインしたサイン計画に入れ替わって、修悦体のサインが無くなってしまうと考えると複雑です。サイン計画を担当するデザイナーが気を利かせて、日暮里駅は修悦体を全面的に採用する、ってことにならないでしょうか。もはや日暮里名物です。
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「口」と「ロ」の違いとか、音引きとか、いいですね。
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季節限定のものもありました。行くたびに変わってる、新しいものができている──修悦体はまさに生きている書体ですね。佐藤さん、それに素敵なプレゼンをしてくれたYさん、ありがとうございました。

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【10月5日追加】 一番上の写真の案内図が完成していました。
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やっぱスゴいわ、この人。

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※もっと知りたい方は修悦体のネットの世界に広めたトリオフォーによる修悦体のページ。「グッズ」のページでは修悦体のTシャツやDVDの販売もしています。
YouTubeで「修悦体」で検索すれば、TVで放映された佐藤さんなどいろんな動画が見られます。
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by cabanon | 2007-09-23 15:01
 
デザインより安全???
安全までデザインして「デザイン」です。こういう「デザイン」という言葉の使い方はやめてほしいです。見た目やオリジナルの造形性が、デザインではありません。「デザインに安全への配慮が欠けていた。安藤さんもそれを認めて改修した」って書けばいいじゃないですか。
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記事を最後まで読むと(上のスクリーンショットは記事の一部)、正確に言えば、デザインに「安全」というより「安心」への配慮が欠けたってことのようです。安心感の要求が、いまどきの親の過敏さから来るものか、もっともなものなのかは、現場を見ていない僕には判断しかねます。

※Link / 東京新聞ウェブサイトの当該記事へ

2年前も朝日新聞の記事で、「デザイン」が似たような使い方をされて、このブログでコメントしたことがあります。
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by cabanon | 2007-09-21 18:10
 
特別なもの
いまさっき家に帰ってきました。銀座のマガジンハウスに校正を届けに行きました。ファクスで送り返せばいいのだけど、ちょっと赤字が増えたのと、原稿を読み返すとなんだか愛着がわいてきて、大事な校正だから届けに行こう、さあ出かけるぞ、って気になりした。

20年前、駆け出しの雑誌編集者だったころ、手書きの原稿を受け取りに行った経験をしています。その場で読んでエラい先生に「有り難うございます」に加えて、気の利いた感想を言わないといけません。ぜんぜんうまく言えませんでした。といっても当時すでに、手渡しは特別で、ファクスと電話のやりとりが一番多かったのですが。

最近のライター仕事は、最初から最後までメールのやりとりだけで終わってしまうことがあります。それにどうも馴染めません。

12時過ぎで、マガジンハウス的にはまだ早かったので、編集部には人がほとんどいませんでした。担当編集者の机の上に校正を置いて、久しぶりに会うフリーの編集者と二言三言交わして会社を出ました。CasaBRUTUS来月10日発売の日本デザイン特集中の、「日本デザインはじまり物語」です。明治から1950年代までのデザイン創生期の話を6000字くらいで口当たりはサクッと、噛みしめれば濃密なあんな話こんな話が味わえるように書いています。

帰りにgggの佐野研二郎展(〜29日まで)に立ち寄りました。auのLISMOの扇子とかTBSのブタのいろんなシールとか、「えっ、こんなノベルティグッズまで作ってんだ、初めて見た」というものがたくさんあって、おもしろかったです。

小ロットのノベルティや限定生産品って、「わたしたちは特別なモノを持っている仲間たち」というコミュニティ感を創出します。TVCMや街のビルボードなどのマスなメッセージとは対極で、最近のブランディングはこの両方を使いこなせなければならない(例えば、佐藤可士和さんの仕事とか)。だからグッズはディテールにこだわり、出来る限りバリエーションを作って、限定感や特別感をより高めないといけない。優れた限定グッズは、特別な価値観を共有した証しなんです。

そこまでやるかってところまで細かく広く、しかも楽しく作り込める──そこが佐野さんの真骨頂なのでしょう。ドコモダケみたいに同じのを配りすぎて、オジサンのとりあえずストラップにさせちゃダメなんですよね。

会場には、わざわざgggまで足を運んだ人だけが共有できる、佐野さんから贈り物がありました。この金の鈴です。会場で「自由にお取り下さい」になってます。
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by cabanon | 2007-09-21 16:23
 
テンセグリティの作り方 How to make a Tensegrity
先週の桑沢の「デザイン概論」集中講義で、学生にテンセグリティを作ってもらいました。
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テンセグリティ (Tensegrity) は、tensional と integrity の造語。引っ張る力と圧縮する力によって均衡を保たれる構造。バックミンスター・フラーの指導を受ける学生だった、ケネス・スネルソンが考案したものです。投げると弾むくらい構造は安定しています。が、輪ゴムを一か所外すと途端にバラバラになります。

いろいろなバリエーションがありますが、今回制作してもらったのは、輪ゴムと木の棒で作る最も単純なものです。エレガントな構造を自分の手で体験してもらうのが制作の目的です。

東急ハンズで買ってきたラワン材とバルサ材の2種類の丸棒で使いましたが、バルサ(6mm径)のほうが加工しやすく、見た目もいいようです。糸鋸を使いました。カッターでは両端に溝を入れるのが難しい。木を切るときに怪我をした学生がいました。軍手を用意すればよかったですね。申し訳ありませんでした。
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この講義のためにKeynoteで作った「テンセグリティのつくり方」をアップします。講義の時は、もっと出来損ないの図解でしたが、学生の反応を参考にして改善しました。
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棒の長さ11センチというのは目安です。つくりやすい大きさということ。長さ20センチでも可能(輪ゴムの大きさは市販のふつうの大きさで)。溝はしっかり開けましょう。溝が小さいとつくりにくいです。
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下が、今回の講義で制作してもらった学生作品のベスト。両端を黒く塗るひと手間が、デザイナーにとって大切な心がけだと思います。
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【関連リンク】 テンセグリティを考案したケネス・スネルソン(Kenneth Snelson)のウェブサイト
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by cabanon | 2007-09-19 20:31 | お気に入りの過去記事
 
きのうの月
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by cabanon | 2007-09-18 08:17
 
あっ、福田さんだ
いま一番ニュースな人をお見かけしました。フク爺。
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本日(9/15)午前11時、永田町駅から国会図書館へ向かう途中、自民党本部の前を通ったら、なんと出馬記者会見を終えたばかりの福田さんが、黒塗りのクルマに乗り込むところでした。慌ててシャッターを切ったので、ピントが合ってません。

昨日、行きつけの呑み屋で、隣に座っていた女性たちが「フク爺」って呼んでました。

にしても、次期日本のトップ(?)を偶然見かけるなんて、なんか縁起のいいような。
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by cabanon | 2007-09-15 18:08
 
GDP@KDS
今日は、桑沢のデザイン概論5日間連続集中講義の最終日でした。
1年生200人相手に、どこまで対話型の授業が可能か──名付けて「マッシブ・インタラクション」が、今年の講義を企画にあたってのテーマでした。
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で、本日「GDP@KDS グッドデザインプレゼンテーション@桑沢デザイン研究所」を開催しました。学生に、自分がグッドデザインと思うものを持ってきてもらい、展示し、みんなで投票して評価し合うというものです。黒のA4用紙に、モノを並べ、絵はがきの半分サイズの紙に、どこがグッドなのか、書いてもらう(タワーレコードの新着CDの紹介のPOP風に)。面白さを他人に伝える力が試されます。

感激しました。学生たちがクオリティの高いものを持ってきてくれて、本家GDPに匹敵するほど面白い品々が集まりました。数が多いほどに、こういうのは見てて楽しい。大人数になるほど対話型の(インタラクティブな)講義は難しいと諦めるのでなく、たくさんの視点が入り交じって、学生同士が教えて/教わる、マスだけどインタラクティブな講義があるんじゃないかと試みて、予想以上にうまくいったように思います。学生のみなさん、ありがとうございました! 票数を集められなかったものにも「ああ、こうきたか!」ってものがたくさんあった。ホント面白かったです。

で、心からスゴい、と思った学生が一人いました。けど、、、、本日は、締め切りをとっくに過ぎた原稿を書かないといけないので、そのことは次にアップします。他にも、テンセグリティをつくってもらった講義の話など書きたいことがありますが、それらも来週以降アップします。
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by cabanon | 2007-09-14 21:27
 
大人の勝手な言い分
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お酒は18歳から飲めるように、法律を改正すべきだと思います。自分たちが大学生だったときは、新歓だの、文化祭の打ち上げだので、ガンガン酒を飲んで盛り上がった大人たちが、いまさら法律遵守を言い出すのは、おかしなことです。

社会は、18歳を大人として扱うべきです。選挙権だって持たせたほうがいい。僕は主に大学や専門学校の1年生を相手に講義を受け持っています。心がけていることは、学生に対して、自分と同等の大人として接すること。そうすればどんどん彼らは伸びていきます。18歳くらいって、まだ多少精神的に幼くても、大人としての自覚と責任を持つことで、一気に成長していく年なのだと思います。

だから、お酒を酌み交わしながらのコミュニケーションがあってもいいのではないでしょうか。こんなキャンペーンはやめたほうがいい。法律にグレイゾーンを残すのがイヤだったら、法を改正すべきです。
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渋谷センター街にて。

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by cabanon | 2007-09-13 16:04
 
大いなる快適
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LC2は、ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレとシャルロット・ペリアンによるデザインのソファです。別名、グラン・コンフォール。つまり「大いなる快適」。熟睡中。午後1時すぎ。渋谷のデパートで。お疲れさまです。
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by cabanon | 2007-09-11 14:56
 
薄さにやられて…
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新型iPod nanoなどの発売で賑わう渋谷のAppleStoreで、薄くてミニマムになった純正Keyboardを衝動買いしました。シンプルを究めようと、文字もミニマムなUSキーにしてみた。で、帰ってきて使ってみたら、returnキー(確定キー。WindowsのEnterキー)が一段分しかなく、ミスタイプを繰り返す。僕は、確定キーを中指か小指かで力いっぱい打つのがクセなんだけど、このキーボードだと、どうしてもreturnキーの上の「\」キーを打ってしまう。いつも二段分あったreturnキーの上の方を押していたようなのです。そう簡単に直りそうもない。結局すぐに元のキーボードを復帰させました。

新しいキーボードはキータッチもいいし、小指の腱鞘炎(というか慢性的なしびれ)のことを考えたら小さいreturnキーをやわらかく打つように努力したほうがいいのかもしれないけど。入力インターフェースの衝動買いって難しいですね。余裕ができたら、薄いほうに慣れる努力してみます。後で確認にしたら、JISキーボードのほうは、新型ももちろんreturnキーは2段でした。かっこよさだけで、仕事の道具を選んじゃダメですね。特に僕は物書きなのだから。

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text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-09-07 22:18


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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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