藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
数寄、好き、空き
ひとつ前の投稿のもとになった短文を書いた98年のCasaにこんな原稿も書いていた。
これは加筆も訂正もしない。というのは、あとで大幅にここで語っていることを発展させてシンプリシティと遊び心の関係について書くつもりなので。

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【Diversity】
ミニマムとは多様性です。あの岡倉天心が茶道を通して日本文化を西洋に紹介した『茶の本』という書物があります。そこで茶室の話に触れています。数寄屋(茶室)の原義は、好き家であり、空き家とも数奇家ともあてられる、と。詩趣を宿すための仮の住み家だから「好き家」、ある美的必要を満たすために置くものの他は、一切の装飾を欠くから「空き家」、そして「不完全崇拝」に捧げられ、故意に何かを仕上げずにおいて、想像の働きにこれを完成させるから「数奇屋」だと天心は語っています。つまりミニマムの答えは一つではありません。人の数だけの答えが存在するのです。
(初出『CasaBRUTUS』1998年冬号)
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つまり、数寄とは余白。遊び心はそこに生まれる、って話にしてくつもり。今日の講義での発見です。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-07-12 00:43
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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