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藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
リーディング・エッジ・デザイン展
いい展覧会でした。山中俊治さん率いるリーディング・エッジ・デザインの展覧会「MOVE」。最終日の日曜、スパイラルに見に行きました。
リーディング・エッジ・デザイン展_d0039955_23281899.jpg
展覧会はプロトタイプだけを10種集めたものです。プロトタイプの展示といえば、ふつうガラスケースに向こうに大切に置かれていて、絶対触るなオーラを漂わせています。しかし、触ることができます。触れなくても動かしてくれます。スタッフが仕組みや使い方を丁寧に教えてくれます。これなら会期がたった3日間というのも仕方がありません。説明してくれたのはボランティアの学生さんだというし、不特定多数の人が使うわけですから故障とかあるでしょうし。

ずっと使ってみたかった日本語入力機「タグタイプ」を触ってきました。家庭用テレビゲーム機のコントローラーのような形で、両手でもって親指を使って日本語を入力する装置です。展覧会で試用したのは最新版の「タグタイプ・ガレージキット」。思った以上に使いやすい。すぐに使い慣れることができそうです。最近僕はキーボードの打ちすぎで慢性的に右手の小指にしびれがあります。通常のQWERTYキーボードのような、日常生活であまり使わない小指や薬指に負担のかかる入力法というのはやはり間違っています。親指はもっと使われるべきです。
*Link/タグタイプ・ガレージキットに関する資料。注!pdfファイルです。

8輪駆動電気自動車「ハルキゲニア 01」のデモでは、山中さん本人が観客に解説してくれました。テーブルの上で5分の1試作車がクルマの概念を変えるさまざまな動きを披露します。8つの車輪それぞれに4つずつモーターが付いており、車輪を回転させるだけでなく、車輪を上下させることができます。だから車輪で歩きます。王蟲みたいな感じです。また、前後に動く4輪と左右に動く4輪を使い分けることによって、縦列駐車が簡単にできます。
ジャイロセンサーを腕に装着し、手を前後左右に曲げることによって運転するデモも行われました。このジェスチャーによる運転プログラミングは展覧会初日から会場で組みはじめ、本日初めてデモするというものでした。
デカいクルマだと思っていたら、マーチくらいの小型車を想定しているそうです。スケボーみたいにして遊んだり、車椅子とかにも使えそうだなといろいろな想像が膨らみます。うん、面白い。
*Link/WIND RIVERのサイト内のハルキゲニアのHP

Suicaの自動改札の展示も面白かった。カードを当てる部分に緩やかな傾斜を付け、グリーンのLEDが光る丸い輪を加えたのがリーディング・エッジ・デザインの仕事。実験ではいろいろな形態が試され、たとえば最初は円形のくぼみを作って注意を引こうとしたが、実験では良い結果が得られない。どこにカードを当てていいか分からないオジサンがいる。人が改札を通過する0.2秒の間に、直感的にあっここにカードを当てればいいのかとサッと理解できる形をいかに作るか。いわば0.2秒のインターフェース。そのトライ・アンド・エラーの過程がビデオと実験に使った模型で分かりやすく展示してありました。

会場にいた山中さんに話しかけてみました。8年くらい前の「日経デザイン」の取材以来です。その時、ちょっとした行き違いがあって、山中さんにインタビューしたものの、原稿には彼のコメントを全く使わないことに。僕の強引な取材依頼のせいだったかもしれませんが、けっこう僕もムッときたことあり、それ以降、山中さんの仕事は気になっても、遠目で眺めるだけでした。

話しかけようかどうしようか。覚えてないかも。いろいろ思いましたが、展覧会が素晴らしかったんで、声を掛けてみました。

丁寧に展覧会のコンセプトを語って下さいました。
いろいろな方々の協力を得ていけば、こうした先端テクノロジーを利用したモノづくりが自分の会社のような小さな組織でも実現できる。巨大インダスリーの中でするのとは違う、技術とデザインの先を見据えたモノづくりのもうひとつのあり方を示したかった云々と。

何の取材か忘れたけどなんとなく顔を覚えているライターさん、という感じで話していただいたのかもしれません。でも、山中さんの語りからも、展覧会の内容からも、人に伝えたい、感じてもらいたい、触れてもらいたい、直接対話したい、という意思が強く感じられ、気持ちよく帰りの銀座線に乗ることができました。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-12-11 23:21
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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