藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
面質
面質──カーデザインの世界でよく使われる言葉のようです。他では聞いたことがありません。Googleで検索すると、クルマの記事やリリースで下記のような使われ方をされています。

張りのある面質、すっきりした面質、練り込まれた面質、瑞々しい面質。滑らかな面質、艶やかな面質、豊かな面質、精緻な面質、エレガントな面質。クリーンな面質。シャープな面質、ソフトな面質、リッチな面質。

ニュアンスの塊のような言葉です。「面」と言ってしまってはいけないのでしょう。「面を豊かにする」というよりは、「面質を豊かにする」といったほうがいいし、「面を磨く」と「面質を磨く」はさらに違います。微妙なフォルムの問題に、微妙に質感というニュアンスが加わります。当然、クオリティという意味も持ちます。ポジティブな意味の形容詞と組み合わせると、「質」という文字が輝きます。

あるプロダクトデザイナーの言葉を思い出しました。最初に自動車会社に就職したとき、クルマのデザインがこんなに彫刻だったのか、と驚いた、もっと設計だと思っていた、と。

もしかしてクルマのスタイリングって、現代彫刻よりも彫刻的かもしれません。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2006-12-02 22:59
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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