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藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
不都合な真実と六ヶ所村ラプソディー
昨日「不都合な真実」を観た。先月は「六ヶ所村ラプソディー」を観た。

この2つの映画をあわせて観ると、複雑な気持ちになります。「不都合な真実」だけ観れば、地球温暖化による環境の激変がすでに現実のものとなっている、このままじゃいかん、という思いになって、映画館を出ることができるでしょう。この映画の主役、ゴア元副大統領のプレゼンテーション能力は卓越しています。途中、本物のゴアがスライド講演をしているような感覚を受けてしまいました。

「不都合な真実」というのは地球温暖化だけじゃない──映画館を出るとき、僕は「六ヶ所村ラプソディー」を思い出して、そう思いました。「六ヶ所村ラプソディー」は、青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場を巡るドキュメンタリー映画です。再処理工場は全国各地の原発が排出した使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムやウランなどを回収する施設です。そしてそれらを再び燃料として使うのが核燃料リサイクルです。

僕は原発反対派ではありません。原子力というパンドラの筺を開けてしまった人類は、開けてしまった事実を背負い続けながら生きていかねばならないと考えています。

しかし昨今、日本で、原子力発電を温室効果ガスを排出しない発電方法だと宣伝されているのを見ると強い疑問を感じています。核廃棄物の問題がある限り、原子力による電気は決してクリーンエネルギーではない。さらなる経済成長を当たり前のように望む生活を続けるには、どんな代償を払い、どんなリスクを背負うか、そのために何を行うべきか、私たち1人ひとりが考えていかねばならない時がやってきたようです。

僕は、原子力事業は電力会社のサラリーマンや役人に任せるべきではないと考えています。裁判官や検察官のように高い倫理道徳へ意識を持ち、軍隊のように規律を徹底的に叩き込まれ、新聞記者のように情報に敏感で、医者や宇宙飛行士のように人々から尊敬される専門集団が運営すべきです。そして次の世代が「NO」と判断したら、即座に撤退できる準備も進めておかなければならない。

「不都合な真実」を観て、いろんなことを感じた人は、ぜひ「六ヶ所村ラプソディー」も観て下さい。劇場公開は終わっていますが、週末、各所で上映会をやっているようです。今後のスケジュールはオフィシャルサイトの「上映スケジュール」の欄をクリックすると知ることができます。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-04-05 14:13
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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