藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
ノマディック美術館、よかったです。でも入場料が…
ノマディック美術館、よかったです。でも入場料が…_d0039955_13342892.jpg
坂茂氏設計のノマディック美術館へ行きました。アーティスト、グレゴリー・コルベールの展覧会「ashes and snow」のために設計されたテンポラリーな移動美術館。ニューヨークとロサンゼルスを移動してきて、3月に東京・お台場に上陸したものです。

コンテナを積み上げた外観は、すでに雑誌で見て知っていてあまり驚かなかったのですが、中に入って、その荘厳さに感動しました。必見です。

紙管の列柱が規則正しくシンメトリカルに建ち並び、ゴシック教会の身廊を歩いているような気になります。西洋建築の伝統を引き継いだ幾何学的なプロポーションと、壮大なスケール感、そして実に効果的な照明によって、紙管とコンテナとテントという実に現代的な材料によって作られた空間が、超越的な時間がゆったりと流れる映像作品を鑑賞するのにふさわしい空間に昇華しています。現代オペラの舞台装置の中に立っているような感じも受けました。

サーカスのテントのように、突然限られた期間にだけ現出し、しかし、その中では演目が繰り返され、観客を日常の時間から切り離す。坂氏のノマディック美術館では、演目の繰り返しだけでなく、列柱やコンテナといった建築的要素まで、ミニマル音楽のように同じモチーフを繰り返している。建築家は、建築自体によって仮設/永遠を同時に表現するというアクロバティックな試みに成功しています。時の神秘を刻み込んだ工業化された神殿とでもいいましょうか。スポンサーはロレックスだし、見事です。

展覧会は6月24日まで。ただ、入場料がえらい高い。大人当日1900円。チケットカウンターでビックリしました。映画より高いなんて。映画並みの大スクリーンで60分の長編映像、中型スクリーンで2本の短編が見られ、それに写真展示があるけど、ゆったり座れる椅子があるわけでもないし。ま、坂さんの、今しか見られない建築を見るための料金が、1900円のうちの800円くらいかなと思って、納得しました。

金・土・日・祝は夜10時まで(月〜木は7時まで)。僕は金曜の夜8時ころに入りましたが、昨晩は寒かったので、体が冷えきって、長編映像は最後まで見ませんでした。でも、雰囲気を楽しみたいなら、夜がおすすめです。

*Link →グレゴリー・コルベール『ashes and snow』のオフィシャルサイト
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-04-07 13:35
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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