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藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
うわっ、×××様だ
都現美へ「SPACE F0R Y0UR FUTURE ア─トとデザインの遺伝子を組替える」展(1/20まで)のオープニングレセプションへ行ってきました。
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タナ力ノリユキさんは、エリ力様が100のキャラクターを演じた写真を大壁面いっぱいに展示していました。で、生エリ力様。左端で、あの人と同伴です。

建築家、石上純也さんの作品がおもしろかった。
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4階建て分の四角いアルミのバルーンがヘリウムガスで浮いてます。重さ1トンあるそうです。空飛ぶ巨大構造体──。どうやってこれを吹き抜け空間に入れたのでしょうか。併せて展示されていた石上さんの小品も良かった。来年のヴェネチア建築ビエンナーレの日本代表。今最もノッてる人ですね。

2階に展示されていた嶺脇美貴子さんの作品にも惹かれました。ガンプラや漆器や縦笛や水鉄砲が、ネックレスなどアクセサリーに変わっていました。小さな驚きがたくさんある。「あっこれiBookから出来てるんだ」とか、見る人の会話を生んでました。

図書室のD-BROSの植原亮輔さんと渡邉良重さんの、古書の上に蝶がのった作品もいい。標本箱のイメージと図書室のイメージが重なり合い、ここがアーカイブとしてのミュージアムでもあることを思い起こさせます。空間と対話するのは現代美術の展覧会では当たり前のことです。しかし他の多くの作品が空間の形や機能と対話していたのに対して、彼らの作品は空間のキャラクターと対話していました。3階のエルネスト・ネトの人間を包み込むソフトスカルプチャーも楽しいです。椅子か服か。ぜひご体験あれ。

誰が現代美術家か、誰がデザイナーか、いちいち考えないで作品を見てました。34組も出品していますから、ハズしてるなと思う作品もありました。空間を生かし切れないと展示スペースの広さだけが目立ってしまいます。

20世紀には、アートとデザインの間の境界に高い壁があって、それを飛び越えるのには力一杯ジャンプしなくちゃいけないと、多くの人が思ってました。デザイナーが画家として画業に専念するには、横尾忠則さんのように「アーティスト宣言」をする必要があった。既成のアートやデザインの枠組みから逃れてようと、若者たちがアートとデザインの国境周辺に集まりました。1980年代日グラ展などに出品する若いクリエーターたちをデザイン難民と呼んだりしました。アート難民という言い方もあります。国境管理が厳しいから、難民なんて言葉が使われたのです。

21世紀、自然体で壁の中をスッと通り抜けることのできる人たちが現れてきました。日常業務としてのデザインは、もちろんアートと違いますから、壁が崩れたわけではありません。が、壁は気合いを入れてジャンプしなくても、通り抜けられたのです。軽やかに行き来する人たちが増え、壁周辺の光景は大きく変わり、難民問題は過去のものになった。そのことが実感できる展覧会です。
text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2007-10-27 00:14
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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