藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
ピラミッドの山
現在発売中の『芸術新潮』3月号のコラム頁に「ピラミッドの受難」という記事を書きました。解体予定の学習院大学のピラミッド校舎(前川國男設計)の話をきっかけに、同じコルビュジエの弟子の吉阪隆正の八王子セミナーハウスの逆ピラミッド型建物などに触れています。

コルビュジエ設計の上野の国立西洋美術館の屋上にも、ピラミッド状の物体があるという話も書きました。一般客は屋上には上がれないので、Googleの衛星写真で見るしかない、と思ってました。

昨日上野に行きました。ピラミッド状の物体は下から見ることができました。オブジェでも給水塔でも階段室でもありません。採光窓です。形は三角錐(底面が三角形)。一般的な四角錐のピラミッドと形状が異なります。

こっちはフランス政府が中心になって世界遺産の登録候補になったというのに、ほぼ同時に建てられた、弟子の前川のピラミッドは壊されるなんて、日仏の文化への意識の差をはっきり表しています。
ピラミッドの山_d0039955_12151832.jpg
で、上の写真の左の部分を見てください。写真を撮っている時は気づかなかったのですが、左にも三角形があります。ファインダーを覗いているときは「写ってしまう邪魔な街灯」でしかなかったのですが、あとで上野公園をブラブラと歩いていて気づきました。公園内の街灯は、三角錐なのです。
ピラミッドの山_d0039955_12154716.jpg
これってもしかして西洋美術館の屋上の三角錐を意識してデザインしたもの? 誰がいつどんなコンセプトでデザインしたか分かりません。コルビュジエがこっそり西洋美術館の屋上につくった三角錐が、人知れず増殖し、上野公園全体に三角錐ネットワークを生み出したのかも。そう考えると面白い。これぞピラミッドパワーです。

あっ、あともうひとつ、ピラミッドを発見。京成の博物館動物園駅跡。上野の山にはピラミッドが静かに息づいているですね。
ピラミッドの山_d0039955_1216997.jpg

text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2008-02-29 12:28
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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