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藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
渋谷水没
桑沢の集中講義が始まりました。今年はあらかじめA4用紙に「100年後の渋谷を描いてください」という課題を出しておいて、初日に展示会を行いました。

「100年後とは君たちがほぼ確実にこの世からいなくなっているもっとも近い未来。その未来に君たちは責任を持っている。だからビジョンを描いてください」ということで。渋谷にしたのは桑沢デザイン研究所が渋谷にあるからです。

190人が描く未来にはひとつのはっきりした傾向がありました。109が水没した光景を描いた絵が圧倒的に多かった。緑化された渋谷を描く人もかなりいましたが、それは予想できました。しかし水没図がここまで多いとは……。しかも、学生に投票してもらってベスト5を決めたのですが、なんと5枚のうち4枚までが109水没図でした。

109って僕にとっては「イチマルキュー」ですが若い人は「マルキュー」って呼ぶんですね。知らなかった。

この春、法政大で100人弱の受講生に「100年後のボアソワードタワー(法大市ヶ谷キャンパスにある地上27階建ての高層ビル)から見た東京」という課題を描いてもらったときにも、千代田区あたりは水没して東京の海岸線が変わり、人々は人工島に暮らしているという面白い絵を描いた人がいましたが、水没図は今回の桑沢ほど目立ちませんでした。緑化された東京、廃墟となった東京、透明チューブに未来ビークルが走る昔ながらの未来都市などが混在していました。

やはりこの夏のゲリラ豪雨に、地球の異変を感じとっている人が多いせいなのでしょうか。それとも渋谷という谷底の地勢のせいなのでしょうか。確かに109は、六本木ヒルズの丘の上の塔とは正反対の谷底の塔です。

注目デザイナーについて書いてくださいとレポートを提出してもらっても、あなたにとってのグッドデザインを持ってきてくださいと課題を出しても、他とかぶることがとても少ない桑沢生が、ここまでこのテーマでかぶると思いませんでした。しかも人気投票上位を占めるということは、若い人たちに集合無意識が何かを予感しているのかもしれません。

けれど水没した渋谷は荒れ果てた都市とは違いました。水中都市は美しい。「ブレードランナー」とか「AKIRA」とか、核戦争後の荒廃した未来を描いていた20世紀末より、もしかして今のほうが未来に対してポジティブかもしれません。
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人気投票第1位の作品


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ハチ公も水没
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パルコは水没を逃れ空中楼閣に
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個人的にはこの世界観が好きでした

text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2008-09-07 21:50
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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