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藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
SENSEWARE展@milano
ミラノに来たのは、サローネの取材というより、SENSEWARE展の取材のためです。
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昨日は終日SENSEWARE展の会場にいました。参加クリエーターを中心に11組のインタビュー。1回約20分。ちゃんと録音したインタビューとしては、僕の生涯1日最多記録です。
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nendoの作品。
SMASHという熱を加えると伸びて成型できる不織布を使用。
お湯につけ、風船を型にして、
ワンオフのさまざまな形を作り出した。

展覧会は面白いです。さまざまなジャンルで活躍するクリエーターが人工繊維のポテンシャルを引き出す「新作」をつくることで、日本の繊維の技術力とクオリティと可能性を世界に発信するものです。本日は、ディレクターは原研哉さん、参加作家のnendo、津村耕佑さん、東 信さん、鈴木康広さん、グエナエル・ニコラさん、シアタープロダクツ、ミントデザイン、パナソニックの鈴木朋之さん、筑波大学の岩田洋夫さんにお話をうかがいました。
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バーチャルリアリティの研究者で
アーティストとしても活躍されている岩田さんの
「ロボットタイル」歩く方向に後方の四角い床がやってくるので、
歩けども歩けども人の位置は変わらない。
通電性のある繊維をセンサーとして使用。

話をするうちに、そこに共有されている感覚があるように思うようになりました。

建築の構造は、ときに人の感覚をはるかに超えた構築物を夢見ます。フランク・ロイド・ライトはマイルハイ(つまり約1,600mの高さ)のビルを構想し、バックミンスター・フラーは構造体テンセグリティが惑星をも包み込むものになる可能性を示唆しました。
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シアタープロダクツの作品。
マイクロファイバーのテーブルクロスが空気で膨らむ。

繊維の構造はミリとかミクロです。ナノスケールの径をもつ糸でできた生地もあります。不思議なことに、繊維はたとえナノスケールの微細構造でも、人の日常的な身体感覚に寄り添っています。

作品の多くは、未知なる身体感覚、気配、空気の様相、光の触感、人間とものとのうつろう関係性、日常にふと訪れる幸福感を感じさせるものです。まさに人の隠れた感受性の起動する装置として、繊維が使われているのです。
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ミントデザインによるチンパンジー型マスク。

そして、もうひとつハイテクとクラフトマンシップの融合も特徴的です。かつて90年代ドローグデザインとして発表したマルセル・ワンダースのヒモ椅子がそれが大きなテーマであったことを思い出しました。あれもマクラメ編みとハイテク樹脂加工技術の融合でした。しかし、SENSEWARE展は、そこに身体感覚の空間への広がりという新たな位相が加わることで、展覧会は21世紀的な様相を呈します。

これ以上書くと、依頼されている原稿と重複するので、ここまで。昨日はまるで日本にいるような一日だったので、今日はミラノ歩きをしてきます。
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会場風景。照明は青木淳さんの作品。椅子は坂茂さん。いずれもカーボンファイバー、照明は中空構造。椅子はアルミとの組み合わせ。

text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-04-22 15:40
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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