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藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
ミラノでtakram
takramの新作を見に行きました。東芝のためのインスタレーションで建築家松井亮と東芝とのコラボレーションです。
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展覧会名は“Overture”— An installation of future generation lighting。若手デザイナーなどの展示が密集するトルトーナ地区。初日に行ったので、町は祝祭感に溢れていました。

部屋いっぱい天井から照明が吊され、一見、昨年夏に発表した「風鈴」のインスタレーションとマイナーチェンジのようにも見えます。

しかしまったく別物です。人が近づくと発光するというところまでは似通っていますが、光り方はまったく違います。
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しかも触れます。そっと手を添えてガラスのバルブに触れると、振動をします。ガラスの中には水が入っています。水の中に電極が入っており、水に電気を通すことで、ガラスの表面全体を触覚センサにするアメリカの技術を使っているとのこと。振動は心臓の鼓動です。
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水が入っているので、そっと慎重に手を添えます。建築家、松井さんによるアーチ型の鏡を使った空間は、ロマネスク教会の静謐な空間を思わせます。床には砂。電球のLEDがつくと、光の輪が広がります。砂の上を歩くと足裏の感覚が起動します。そうした空間の中でガラスを触るから、微妙な振動が神秘の鼓動のようになって体に伝わります。

昨日、SENSEWARE展の取材で、同展の参加デザイナーのグエナエル・ニコラさんが「SENSEこそ素材だ」と言っていました。似たようなことを言う人はいますが、物質よりも感覚が素材だと簡潔にきっぱり明言したその言葉が僕の頭の中でいまグルグルしています。

takramの仕事も、最先端のセンシング技術を駆使し、ガラスはひとつひとつ職人に吹いてつくってもらい……と考えると、つい、技術と技巧だけを見てしまいがちですが、ニコラさんの「SENSEこそ素材だ」という言葉が一番ピッタリ来るように思いました。

今何か共有の感覚が立ち上がりつつある。もちろんジェームス・タレルやマーク・ロスコの作品を見れば、すでにそれは「あるかたち」でなされているものですが、それが目に見えるかたちで、はっきりと多くのクリエーターの中の共有感覚として顕在化してきたように思います。今年、日本で活躍するクリエーターが、ミラノで元気な理由はそこにあるのでしょう。
ミラノでtakram_d0039955_1428572.jpg

text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2009-04-24 14:31
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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