藤崎圭一郎のブログ。「デザインと言葉の関係」を考えます。

by cabanon
 
愛・地球博へ
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5時起きして、万博へ行ってきました。

6月9日から19日まで開催されている「プロトタイプロボット展」を見に行くのが主目的です。ロボット展の話は明日にでも詳述します。

で、今日他に見たのは、長久手日本館。60分待ち。シンガポール館。10分待ち。なぜかブルネイ館。待ち時間なし。日立グループ館。140分待ち。
それだけで疲れてしまいました。

長久手日本館の「360度全天球型映像システム」は、僕が今まで体験した中で最高に没入感のあるVR(ヴァーチャルリアリティ)映像でした。いやあ、行ってよかった。たった2分の映像で、終わった瞬間は「なんだこれだけ、もっと見せて感」もありましたが、でも僕はあれを倍やられたら確実にひどい3D酔いをしてたでしょう。
それと日本館のもうひとつの隠れた見所は、鯛と鯉、熱帯魚と金魚がいっしょに泳いでいる水槽。ナノバブル技術とかいったけ。最初は何がスゴイか気づきませんでした。海のサカナと淡水のサカナがひとつの水槽の中にいるなんて、高精細のCG映像かと目を疑いました。いや実世界の出来事なのです。

日立グループ館の「メインショー」も期待通り面白かった。MR(Mixed Reality/複合現実感)技術によるものと言っていますが、あれはVRです。MRとは実世界と仮想世界を継ぎ目なく自然に(シームレスに)融合させる技術のこと。メインショーでは乗り物に乗って双眼鏡型ディスプレイを覗きながら、5つのジオラマのあるゾーンを体験します。だいたいジオラマを実世界というのは無理がある。
が、細かいことは置いといて、最先端技術が完成度を持ったエンターテインメントにしっかり仕上がっていた点は高く評価します。140分待ちのせいで、足の裏が帰宅してからも痛いけど。

日本館と日立館のこの2つのVRは、一般の人が体験できる現在日本最高峰のVR技術でしょう。この2つに、プロトタイプロボット展と“合わせ技一本”で、名古屋に行った甲斐あり、でした。

大阪万博と比べるのは可哀想です。全体的には2000年のハノーバー万博に近かったような。会場の規模も、地元のお年寄りの団体客が目立って客層にあまり国際色がないのも、コンパニオンに美人がいないのも……。ただしハノーバー万博のほうが、坂茂ありMVRDVありズントーありシザあり、さらにジャスパー・モリソンのトラムありで、建築・デザイン的には面白かったけど。そういえばデザインと言えば、89年名古屋・世界デザイン博というのがありました。あのやたら中途半端な地方博の記憶が16年越しで噛ませ犬として働いて、今度の万博を引き立てています。
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囚われのキッコロ? プロトタイプロボット展にて

text & photo by Keiichiro Fujisaki

by cabanon | 2005-06-15 23:59
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Profile
藤崎圭一郎
Keiichiro Fujisaki
デザイン評論家。編集者。1963年生まれ。1990〜92年『デザインの現場』編集長を務める。1993年より独立。雑誌や新聞にデザイン、建築に関する記事を執筆。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。

ライフワークは「デザインを言葉でいかに表現するか」「メディアプロトタイピング」「創造的覚醒」

著書に広告デザイン会社DRAFTの活動をまとめた『デザインするな』

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